2011/07/28

鉄筋工がいなくなる!東京の鉄筋職人が1割近く減少

炎天下での鉄筋作業
(本文とは関係ありません)
 この2カ月で、東京都鉄筋業協同組合(内山聖理事長)に所属する鉄筋工の総数が400人も減少している。組合加盟の企業に所属している鉄筋工は、5月9日には40社で6466人だったが、7月11日の調査では39社で6069人となった。減少した約400人は、このほとんどこの業界を去ったという。
 その理由はなにより、職場環境の過酷さだ。建設現場での鉄筋工の仕事とは、炎天下のなかでコンクリートを流す前の鉄筋を組むことだ。人力で長さ数メートル、1.3センチ程度の太さの重い鉄筋を運び、針金で結束していく。太陽が照りつける中、日焼けを避けるために長袖の服で一日中作業する。
 しかし夏でも施工単価は変わらず、元請けといわれるゼネコンから受注する鉄筋専門工事業者は「この暑さで職人の歩掛かりが下がっている。暑さに対応した夏工期を設定してもらわないと」と悩んでいる。
 また人手不足から「地方に応援を頼んでも来てくれない。来てもらうには、受注単価に上乗せしなければならず持ち出しになる」という声も聞こえる。
 協同組合の内山理事長は、「国土交通省から重層化や保険未加入業者の排除が打ち出された。保険などの費用は別枠支給でなければできない。払うものを払わなければ職人は集まらない」「行政、ゼネコン、専門工事業に加え、今後は発注者も入って取り組まなければ、この施策はうまくいかない」と話す。
 世の中の建築物は、現場で働く人がいなくてはつくれない。

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