2011/07/13

「本社に相談する所長はダメ」 専門工事の本音トーク

(写真と本文は関係ありません)
 弊紙が専門工事業にスポットを当て、月に1度編成している『職人通信』というページがある。13日に発行した今号では、専門工事業の本音を掲載した。厳冬期が続く建設業界だが、この本音からは現場の苦労がひしひしと伝わってくる。皆さんはこれらを見てどのような思いを抱くだろうか?
①一度去れば二度と戻らず
 10年くらい働き、やっとこれからという職人が辞めて、建設業以外の仕事に就いている。建設業の仕事が増えたからといっても、彼らは二度と建設業には戻ってこない。彼らは、戻ってきたところで、今は仕事があっても、またなくなれば切られることを知っているから。
②職人はすぐに集まらない
 職人が足りないから、集めろといわれてもすぐには集まらない。作業員なら集められるが、それでは品質にも安全にも大きなマイナスだ。そのことを元請けは分かっているのだろうか。
③血縁、地縁ではこの先…
 工業高校などから入社してくれる学生もいるが、依然として定着率は低い。結局、従業員の子どもや親戚、知り合いの子どもなど、血縁、地縁で若い人に入ってもらい、その縁で何とか続けてもらっているという状況だ。現状がこんなことでは、これから先は続かない…。
④本社に相談する所長はダメ
 労務不足の中で仕事を受けなければならない。その上、金額も工期も厳しい。仕事を選ばざるを得ない。ただ、単に工事単価の良し悪しではなく、所長で選ぶ。現場をよく分かっている所長は、足りない分をこの部分はもう少し安い材料にして、その分をこっちに回してくれるといったことができる。なんでも本社に相談するような所長はだめだ。
⑤労務不足で二つ返事とは
 労務不足が起きている。工事を受注しても、職人を集められないということになり、自社で対応できるだけの工事量の受注にしていかないと(受注調整)、大変なことになる。持ち出しばかりでは、会社がつぶれる。声がかかれば二つ返事というわけにはいかない。
⑥派遣のレベルが低すぎる
 現場にいる派遣社員のレベルが低すぎる。責任がないから、所長から言われたことと、自分の仕事しかしない。いてもいなくても変わらない派遣社員もいる。現場の生産性の向上にプラスになっているとは思えない。それなら、派遣を雇う賃金で、協力業者の社員を置いた方が、もっと効率的だ。そうした現場もある。

Related Posts:

  • 【俺は大工だ】型枠大工のプロめざす5人が入社 佐藤型枠工業  佐藤型枠工業(本社・東京都足立区、佐藤敦房社長)は1日、本社で入社式を行った=写真。同社は1960年に佐藤邦夫会長が佐藤型枠工事店を創業して以来、ことしで55年目を迎えた。半世紀を超える歴史の中で、新卒高校生の求人活動を行い、新入社員を迎え、入社式を行うのは初めてだという。  佐藤社長は「型枠大工の世界では一人前になるには10年かかると言われている。一人ひとりの才能や技術力は違うが、同期で入社した5人で切磋琢磨して、1日も早くプロとして… Read More
  • 【職人】日鳶連が木遣り唄を国交相に披露 日本鳶工業連合会(永井克弘会長)は8日、太田昭宏国土交通相を前に「祝い木遣り」を披露した=写真。神奈川県鳶工業連合会の木遣り師5人が美声を響かせ、新年の始まりを祝った。 日鳶連が新年のあいさつを兼ねて国交省を訪れ、祝い木遣りを実施。木遣りは仕事が完成した際に歌う労働歌で、800年前から口伝えで受け継がれてきている。  今回は『君万歳』と呼ばれる曲を披露した。太田国交相のほか、高木毅副大臣や増田優一事務次官、足立敏之技監、原田保夫国土交通審議官… Read More
  • 【職人】われわれが育てる! 作業員向け「亀戸寮」を小黒組が完成 鉄筋工事業の小黒組(本社・東京都江東区、千代田則雄社長)は2013年12月27日、江東区内に作業員向けの「亀戸寮」を完成させた。リーマン・ショック後から激減している作業員を確保・育成するため、31室の個室を備えた寮を整備し、専門工事の担い手を増やしていきたい考えだ。  同区亀戸5丁目に完成した亀戸寮の規模は、木造3階建て延べ約440㎡。個室にはエアコン、テレビ、ベッド、冷蔵庫などが完備され、食堂も併設されている。 同社の内山聖代表取締役会長は… Read More
  • 【次世代の左官へ】大御所、阿食更一郎氏が80年を振り返る 阿食更一郎氏  38歳の若さで左官工事業の大手企業・亀井組の社長に就任し、大阪府左官工業組合理事長や全国竹和会会長などを歴任した阿食更一郎氏が回顧録『以人為師八十年歴程』をまとめた=写真。執筆の途中、「こんな回顧録が何かの役に立つのか」と葛藤したこともあったが、完成した全157ページの労作からは、苦労をいとわず、信念を貫くことの大切さが伝わってくる。 知人からの薦めを受け、「いま書き残さないと、後になって思い出すこともできない」と執筆作… Read More
  • 【とび技能検定】目指せ「現場の華」!! 2、3級には女性受験者も 2014年度東京都とび技能検定の実技試験が7月17、18日に東京都中央区晴海の都有地で実施され、187人が受検した。内訳は1級が114人、2級が26人、3級が47人で、小屋組み、重量運搬(1級のみ)、質量目測(1、2級のみ)の課題に挑戦した。 2級の受検者のうち8人が高校生で、女性も1人受検した。3級の受検者は女性5人を含む全員が高校生だった。  とび技能検定は、東京都鳶工業会(清水武会長)が東京都職業能力開発協会から会場の設営から運営まで… Read More

0 コメント :

コメントを投稿