2013/05/13

【建築】屋根を斜面緑化し庭と一体化した「志木の家Pendii」 スタジオ・アーキファーム

スロープ状に登っていく屋根の斜面を芝で覆い、2階の寝室前にプライベートガーデンを創出した『志木の家Pendii』(埼玉県志木市)。1、2階の居室が庭につながる開放的な空間とし、芝の気持ち良い香りが吹き抜ける住居は、住宅街の中にあって施主が望む“庭と一体となった家づくり"を見事に実現した。設計を担当したスタジオ・アーキファームの峯田建代表は「一般の屋根緑化ではせっかくお金をかけても緑を観賞できない。斜面の屋根に芝を乗せることで、生活の中で活用でき、楽しめる空間を提供できた」と語る。
 北側隣地の日当たりに配慮するため、東側高さを低く抑え、西側との間に発生する高低差をスロープでつなぎ屋根面を緑化した。芝屋根の大胆な緑は、外観の大きな特徴にもなっている。
 芝は、蒸散により周りの空気を冷やす効果があるほか、熱い夏の太陽熱や冬の寒さの侵入を防ぐ断熱材にもなる。また、太陽光発電パネルと直結した小型ファンが吹き抜け空間の空気を循環させ、珪藻(けいそう)土の調湿効果を引き出し、カビや結露を防止している。
 芝の施工では、水分が流れ落ちて芝が枯れないよう、一定温度で水が出るサーモゲル保水マットを採用。芝マットがずり落ちないよう屋根の間にリブを打って固定し、難しい斜面の施工を克服した。また、芝刈りが少なくてすむ高麗芝を使用している。「施工から7年目だが芝屋根は今も順調に生育している」と、自然が楽しめる空間を提供し続けていることに目を細める。
(Pendii=イタリア語で「斜面」)

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