A やっぱりことしは暑いね。7月から電力使用制限が始まったけど、これは電気事業法に基づくものだ。ということは、違反すればもしかして建設業法上の他法令違反になるの?。
B まず、電気使用制限令に違反しても、故意でなければ罰せられないとの考え方を経済産業省が出している。建設業法の対象になるとすれば、他法令違反だけではない。電気使用制限違反で建設業法第28条(指示および営業の停止)の対象になるとすれば、同法1項の「建設工事を適切に施工しなかったため公衆に危害を及ぼしたとき、または危害を及ぼすおそれが大であるとき」か、同法3項の「ほかの法令に違反し、建設業者として不適当であると認められたとき(他法令違反)」の2つが考えられる。
A じゃあ、やっぱり電気使用制限違反で営業停止になるんだ。
B それは違反した事業所が「建設現場」であることが第一だ。建設業法は、建設工事を適切に施工するための法律だから、第28条も現場が電気使用制限令に違反すれば対象になる。でも、すぐに営業停止ではなくて、「指示」もできる仕組みだ。指示があって、勧告があって、営業停止という順番だ。
C 最も大切なのは、これはあくまでも法律上の話ということだ。公衆に危害を及ぼした場合でも、現場ではなかったから営業停止にならなかった事例はあるし、他法令に違反しても指示もされなかった事例はある。その都度、違反の度合いを見て対象にするかを判断しているのだろう。要は、法令は法令であって、運用の際には一定の情状は酌量されるし、状況を見て判断される。
A ということは、故意でもなく、ほんの一瞬だけ使用制限に違反したからといってすぐに営業停止というわけではない。
B そのとおり。今夏の場合は特に、よほど故意に使用制限を破って公衆に多大な危害を加え社会的に大問題になれば、営業停止の可能性もあるかも、という感じではないかな。
■熱中症での死者 4割は建設業
A 節電がブームのようになっているけど、そのせいか、ことし熱中症で救急搬送された人は、6月だけで昨年の3倍、約7000人に達した。うち14人が亡くなっている。気象庁では、6月から8月までの平均気温は平年並みか高いと予想しており、節電による冷房の削減も考えれば、熱中症の発症率は高くなってるんじゃないか。
D 業種別の死者数は、消防庁の7月12日付発表資料では明らかにされていないけど、ただ、2010年のデータを見ると、6月から9月までの4カ月間で、熱中症による死者は47人、うち36・2%に当たる17人が建設業だ。08年から10年までの3年間の数字でも、72人中31人、43・1%が建設業で、いずれも約4割という割合になっている。それをそのまま当てはめれば、ことしはすでに、5人から6人が亡くなったという計算になる。
E それは少しむちゃな計算だけど、6月から7月にかけて開かれた各社の安全大会では、必ずといっていいほど「熱中症対策」ということがうたわれていた。厚生労働省も、建設業と製造業を「熱中症多発業種」だとして、職場での予防対策を重点的に実施するよう求めている。
A 救急搬送された人たちは、半数強が65歳以上の高齢者だけど、実は約4割を18歳以上65歳未満の「成人」が占めている。まさに第一線でバリバリと働いている人たちだ。特に建設作業は、冷房施設のないところでの仕事だけに、少しでも体に変調を感じたら、即刻作業をやめて適切な処置を受けてほしいね。
E ただ、なかなか言い出しにくいこともあるんじゃないかな。それが言えるような職場の雰囲気づくりと、やはり管理・監督する人が注意深く見て回り、おかしいと感じたら、ひと声かけるということは大事なことだと思うよ。
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