2012/03/14

ボード、タイル工でも技能者不足が慢性化 労務費高騰、経営圧迫

現場の技能者が不足の一途だ(写真と本文は関係ありません)
 仕上げ工事でも技能者不足が顕著になってきた。型枠大工工事や鉄筋工事業の躯体工事職種における技能者不足は慢性化しているが、躯体職種に加え、仕上げ工事職種でも技能者不足が表面化した。とくにボード工事とタイル工事で技能者が足りないという。
 技能者の大幅な不足の背景には、年度末を迎え工事が集中していることに加え、技能者自体が減少しているという2つの要因があるようだ。ある仕上工事業者は元請けからの要請に「単価を上げてもらっても、人がいない」と嘆く。さらに、最終工程の養生クリーニングも人手不足が著しいという。

 鉄筋工事の労務不足は、一時期に比べると落ち着いてきているものの、連休明けからまたひっ迫してくるとの見方が大半だ。
 受注単価は各職種で上昇してきている。専門工事業の経営者は「今までの単価が異常だった。いま適正な単価に戻りつつある」ことを強調する。単価の急激な上昇は、専門工事業者の経営にも影響する。契約から着工までの期間が長ければ、その間に労務費が上昇する可能性があり、技能者を確保するためには、持ち出しになる。工事量、労務費など先行きを見通せないというのが現状だ。
 技能者を確保するために、この数年に離職していった人たちに声をかけても、「賃金を上げたからといって、辞めていった職人は戻ってこない」というのが現実だ。ダンピング(過度な安値受注)による低価格が建設ものづくりの最先端で働く技能者にしわ寄せされた結果であり、夢や希望をもてない業界になっているということだろう。
 専門工事業は、新規入職者が少なく、高齢化も進んでおり、現状のままでは技能者の減少に歯止めがかからない。建設生産に影響を及ぼすことは必至だ。

『使える!内外装材[活用]シート (エクスナレッジムック)』 AmazonLink

Related Posts:

  • 処遇改善へ関西圧接業組合加盟社が鉄筋工業組合に加入 濱野理事長(左)と岩田理事長(右)  関西鉄筋工業協同組合(岩田正吾理事長)と関西圧接業協同組合(濱野功理事長)は17日、大阪市中央区の大阪建団連会館で会見を開き、関西圧接業協同組合の全加盟社が関西鉄筋工業協同組合に加入することを発表した。今後、情報共有を密にし、処遇改善などについて共同で関係官庁に訴えるほか、共同事業などを実施する。  関西圧接業協同組合の加盟社のうち、3者はすでに関西鉄筋事業協同組合に加入しているため、残る11社が新組合員… Read More
  • 「空調服」で涼しく作業。「生理クーラー効果」を活用  株式会社空調服(本社・埼玉県戸田市、市ヶ谷弘司社長)は、小型電動ファンを内蔵した「空調服」を販売している。作業着として着用するだけで、空調のない夏場の屋外作業所でも爽快な環境をつくり出す。熱中症など労災防止にも効果を発揮する。空間全体を冷やすエアコンに比べて電気料金が極めて低いため、省エネ・節電効果が大きいという。  空調服は、気温に応じて発汗する身体の生理的冷却システム「生理クーラー」機能を利用する。電動ファンで服内に大量の風を送り込み汗… Read More
  • 型枠大工の高齢化加速が実態調査で明らかに/10年後は55歳以上が4割超 型枠大工就労者の未来予測  型枠大工の減少と高齢化が加速しているが、日本建設大工工事業協会(三野輪賢二会長)がまとめた型枠大工雇用実態調査で、実態がさらに明らかになった。調査結果では、その要因として3K(きつい、汚い、危険)よりも低賃金を挙げ、東日本大震災からの復興にも影響を及ぼすことを危惧(きぐ)する。 調査は、8月31日を調査日として、9月15日から10月21日に調査用紙を回収、非会員2社を含む187社から回答を得た。回答数が異なるため… Read More
  • 声を出さなければ変わらない/全国建設関連産業労働組合連合会  建設コンサルタントや地質、測量、建築積算の46社(うちオブザーバー9社)の労働組合で構成する全国建設関連産業労働組合連合会(建設関連)。10月に新体制が発足、4期目に入った粕谷正明執行委員長(アジア航測)と山田規世書記長(建設技術研究所)に、公共市場の縮小に伴う受注競争激化によって、労働環境が悪化している状況での活動方針や今後の課題などを聞いた。 ――最近の組合活動について 粕谷 「なんのために組合があるのか」と言う組合員がいる。われわれにと… Read More
  • 日当引き上げ求め下請・職人が大阪で街頭デモ 建設下請業者・職人の処遇改善実行委員会(森本大輔委員長)が、大阪市内で処遇改善を求めるデモ行進を行った=写真。専門工事業の1次、2次業者や職人ら約200人が参加し、思い思いのプラカードを手に、職人の日当引き上げを始めとする処遇改善を求めるシュプレヒコールを繰り返した。  一行は、大阪市中央区にある大阪城公園・教育塔前に集結。森本委員長ら幹部が「われわれの生活は困窮し、職人のなり手もない。この現状を変えなければならない」「これは次世代につないでい… Read More

0 コメント :

コメントを投稿