2012/04/13

もはや安値は限界 全鉄筋が地方自治体に職人不足解決を訴え

安値が限界となっている鉄筋工事業(写真と本文は関係ありません)
 全国鉄筋工事業協会(内山聖会長)は、会員企業の取引先や建設業団体、地方自治体に向けて元下請関係の適正化を求めることを決め、要望活動を始めた。受注単価の下落により鉄筋工の離職が増えていることを踏まえ、関係先に現状を理解してもらうとともに、適正な単価、工期での契約を実現し、鉄筋工の確保と育成につなげる。

 内山会長は「もはや安値は限界にきている。この状態が続けば鉄筋工事業の文化、技術が伝承できなくなり、建設業界が大変なことになる」と述べ、建設業界全体が職人不足の現状を認識した上で、協力して問題解決に取り組む必要性を強調した。
 鉄筋工事業界は、指値発注などの影響で鉄筋工の収入低下が顕著になり、転職や転業が相次いでいる。基幹技能者の認定を受けていても離職する人がいるほど、将来に安心感が持てない状況にあるという。また、技能士検定の受験者数も減少しており、特に若者の減少が問題となっている。
 適正単価は地域によって異なるため、要望書には具体的な数字を明示していないが「鉄筋工事の従事者がまじめに働くことで、現在と将来に希望を持てるようにしなければならない」(内山会長)と、まず、現状の厳しさを訴えることから始める。
 東日本大震災の被災地ではいまのところ鉄筋工の不足はみられないが「いざ工事が出てくると、足りなくなることは間違いない」(矢野目和夫副会長)と、復興の障害になる心配もある。要望書は、全鉄筋が作成し、地方協会・協同組合との連名で会員企業がゼネコンなど取引先に持参する。  今回の要望を起点として、保険未加入問題の対応の方向性が定まれば、引き続き適正化を訴える考えだ。


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