2014/09/13

【素材NOW】わずか1日で交通開放 普通セメントでコンクリ舗装

コンクリート舗装に普通セメントを活用しようと、セメント協会が検証を始めた。養生期間わずか1日の補修工法『1DAY PAVE』を協会自ら開発し、会員企業を中心に現場適用を始めたのは2009年。これまでに30現場に導入され、施工面積は延べ6176㎡に達する。協会の近藤秀貴研究所長は「これまでは早強セメントを使ってきたが、工法の汎用性を高める選択肢として、普通セメントの検証に乗り出した」と強調する。写真は試験施工の様子。舗装会社、自治体から50人が集まった。

 適用したのは協会研究所(東京都北区)の敷地約85㎡。もともとコンクリート舗装された駐車場部分の補修に合わせて試験施工という形で導入を決めた。事前の予備試験ではコンクリート版内の温度が平均44度を確保できれば、わずか1日でも養生が完了し、交通開放できる。夏場の季節性もあり、十分に要求温度を満たせると判断した。
 協会によると、硬化時間を高めるために通常50%前後の水セメント比を35%に抑えるとともに高性能AE減水剤を増やし、流動性も確保した。すべり抵抗や、すり減り抵抗を向上させるため、粗骨材容量は1m3当たり0.7m3に設定し、ポンプ施工もできるような配合とした。

三和建設が施工を担当した
舗装工事を担当した三和建設は、12年に東京都北区が区道の補修に工法を採用した際に施工を担当した地元建設会社でもある。その実績が買われ、今回の施工を依頼された。前回は施工面積が8㎡と小さく、一定の工事量としては今回が初めて。しかも普通セメントの実証実験とあって作業の段取りなどにも気を使い、工事を進めた。
 
迅速に仕上げ作業を行うのがポイント
工事を統括した星山光夫工事部長は「施工のポイントは迅速に仕上げ作業を行えるかどうか」と説明する。養生期間がわずか1日という早さの中で、打設後のコンクリートは一気に固まり始める。舗装の仕上げ作業は木ごてで粗仕上げ、その後に金ごてでならしを行う。
 「仕上げを急がないと、満足のいく質の高い舗装は実現できない。今回は普通セメントであったため、仕上げの時間はある程度確保できた。急速に固まる早強セメントでは仕上げがとても難しい。施工者の視点でみれば、工法の採用は夏場の暑い時期より、施工時間の確保できる冬場の方が向いている」と明かす。
 30件の現場実績をもつ工法だが、セメントメーカーなどが自社施設の敷地内に導入するケースが大半を占める。協会によると、公道に採用されたのはまだ3件。山口県宇部市の厚東川水路橋改築工事では勾配が12度を超える道路部分に採用し、仕上げ時にメッシュを入れる工夫で滑り止め効果を生んでいるという。
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