2014/09/23

【就労環境調査】家庭と仕事の両立には効率と職場環境の改善を 北陸地整富山河川ら

北陸地方整備局富山河川国道事務所と地盤工学会北陸支部は、女性技術者の就労環境に関するアンケートの結果を発表した。それによると、仕事に対して一定の充実感を得ている半面、建設産業として、家庭と仕事を両立するための態勢が不十分だとする見方も少なくなく、女性を含め、若手技術者を確保・育成していく上で、業界全体で取り組むべき課題が改めて浮き彫りとなった。
 アンケートは、女性技術者による能越道七尾氷見道路の現場見学会・意見交換会(8月4日開催)の終了後に実施した。対象は意見交換会に参加した41人とその上司(男性)。設問は双方とも同じ内容で、回答率は女性が92.7%(41人中38人)、上司が41.5%(41人中17人)だった。当日参加した女性技術者の所属別(官公庁、自治体、建設会社、建設コンサルタント、調査・測量会社)に分類している。
 女性技術者の残業時間は、1カ月当たり「1-10時間」が10人を超えて最も多かった一方、「61-81時間」が官公庁、建設会社、建設コンサルタントを合わせて5人いた。その大半を占める建設会社では残業時間と比例するように休日数の満足度が低くなっている。「休日数に満足している」は全体の5割を超えた。
 ワークライフバランスについては、女性で最も多いのが「仕事7割・生活3割」の15人。「仕事8割・生活2割」が続いており、各機関、業界に分布している。「仕事6割・生活4割」以下は少数となった。
 男性(上司)をみると、「仕事7割・生活3割」「仕事8割・生活2割」「仕事9割・生活1割」がそれぞれ同数でトップ。仕事に重きを置く傾向が表れている。官公庁、建設会社、建設コンサルタントが特に多い。
 1日の行動パターンは、女性の家事が男性と比べて約2時間長いのに対し、男性は女性よりも仕事と自由時間に約1時間多く費やしている。
 子どもの有無による仕事の充実感は、子どもを持つ女性が約2割、子どもを持っていない女性が約7割と開きがみられた。
 自由意見では、女性から「女性という理由で事務的な仕事が多く、技術的な仕事が少ない」「拘束時間が長く、残業が当たり前の雰囲気がある(時間内に終わらせようとする効率が求められない)」「女性技術者の不足」「育休制度、時短制度などが充実しているが、それが利用しやすい職場環境であってほしい」との声が聞かれた。
 また、男性(上司)も同様の意見を上げ、「妊娠、育児期間中の会社での待遇が不透明」「人手不足で個人負担が大きい。また、職場全体に余裕がない」と訴えている。
 現場見学会や意見交換会、アンケートは、女性の建設界への進出と就業の継続を促すため、現場を通じて建設産業の魅力を伝えるとともに、真に働きやすい職場の構築に向け、それぞれの実情を把握することを目的に開かれた。
 見学会は非常に好評であったほか、意見交換ではトイレ、更衣室などのハード整備や家庭、子育てへの理解、男性技術者と同様の業務分担を求める、生の声が飛び交っていた。
 富山河川国道事務所と地盤工学会北陸支部は、意見交換とアンケートの内容を本局と本部に既に報告し、今後の参考として生かすとしている。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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