A 団体の総会シーズンも最盛期に入った。建築関係は、日本建築家協会の会長と関東支部長が大手組織事務所の出身者に交代するけど、活動に変化はあるのかな。
B 会長が交代したからといって極端に独創的な取り組みが始まることはないだろうし、建築3会を始めとした建築関連団体の協調路線は今後も継続する。ただ改正建築士法の成立に向けて活動していたころと比べ、各団体が一丸となって活動する旗印になるような共通の目標はなくなったように感じる。今後を考えると、ことしは改正建築士法の実効性をどう担保するかが大きな問題になりそうだ。改正内容をどう周知徹底するかが問われている。
A 建設業団体の雰囲気はどのような感じか。
C 大手ゼネコンは、2016年3月期決算で過去最高益を出す企業も出るなど経営環境が良いので、総じて懇親会の雰囲気は明るい。ただ、日本建設業連合会が総会前に2度、「公正・誠実な企業活動の徹底」を要請せざるを得なかったように、不祥事や事故が立て続けに起きているため、水を差されている気がする。特に会員に当事者を抱えている団体は、まず信頼の回復を事業運営の基本方針に掲げざるを得ず、懇親会でも気軽に「ことしの経営環境はどうですか」とは声を掛けづらい状態だ。
D 財務省などは「それ見たことか」と、問題の原因を人手不足に結び付けて公共事業予算の抑制につなげかねない。各業界は総会を機にもう一度、気を引き締める必要がある。
A 利益が改善している設備工事業はどうなの。
E 規模の小さい団体だと来賓に役所の人を呼んでいない気楽さから、オフレコの話が聞けておもしろい。ある協同組合の理事長は、「厚生労働省から労働時間や賃金などのアンケートが来るが、本音は書きにくい」と、主催者あいさつで指摘していた。アンケートは匿名でなく記名式かと確認すると、「匿名だがこの業界は狭い」ので、ゼネコンの批判になるようなことは書けないということだった。設備や内装は後工程で、工期が遅れると残業や休日返上のしわ寄せをすぐに受けるためだ。
D 設備工事団体の懇親会で、気になる話を聞いた。バブル期に行われていたやり方が、また、一部で復活しているという。人手不足で工期内にすべての工事が終わっていないので、引き渡したあとにダメ工事として処理する方法だ。残工事にすると、工事は明らかに完了していないことになる。ダメ工事は完了したが、不十分だったのでやり直すという。いまはバブル期に相当する人手不足が起きている証左と言える。
A 建設関連業や専門工事業はどうか。
E 総会後の懇親会は、昨年と同様、総じて明るかった。工事や業務量が安定的に推移していることが大きいだろう。建設コンサルタンツ協同組合など会員数が増加した団体もあり、あいさつも業界の発展に向け未来志向で頑張っていこうという内容が多かったように感じる。一方で、若年者の入職など担い手の確保・育成に言及するトップも多く、改めて喫緊の課題となっていることがうかがえた。この傾向は、来年以降も続くだろう。
F ある団体では、任期満了に伴う役員の改選で、会長が決まらないという珍事があった。事務局によると候補者のタイミングが合わなかったとのことで、当面、会長不在のまま代表理事が代理を務めるそうだ。会長が決まった段階で、改めてアナウンスするということだが、異例の事態だ。
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