A 大手・準大手ゼネコンの2016年3月期の業績は各社いずれも好調だった。
B 労務費や資材価格に大きな変動がなく、落ち着いていたため国内建設工事の採算が大きく改善した。単体の完成工事総利益(工事粗利)率は、主要26社中25社が前期を上回り、うち10社が10%を超えた。
C 需要の増大を背景に、採算を度外視した低価格受注は影を潜め、利益重視の受注を徹底した結果が今回の好業績に結び付いている。特に建築の工事粗利率は3年前に平均3%台まで落ち込んでいたが、16年3月期は9%台まで回復した。22社が前期を上回り、うち7社が10%以上となった。
D 本業の回復により、連結営業利益は大幅に伸びており、過去最高を記録したゼネコンが複数あった。連結営業利益率が5%以上だったのは大手4社を含む15社で、多くのゼネコンが8%以上を目安に掲げる自己資本当期純利益率(ROE)も22社が前期を上回り、10%台が9社、20%台が5社、30%台が2社、40%台が1社だった。
B 業績の先行指標となる単体受注高は20社が前期を上回り、次期も13社が増加を見込んでいる。首都圏を中心に不動産投資の動きは依然活発な状況で、公共事業予算の前倒し執行への期待感もあり、高水準の受注環境が続く見通しだ。
D ただ、次期の連結営業利益については、17社が減少を予想している。工事量の増加と施工の集中に伴って今秋以降にも労務・資機材の需給がひっ迫し始めると見込むゼネコンも多く、その動きを見越したより慎重な舵(かじ)取りが必要になりそうだ。
A 道路舗装会社の状況はどうかな。
C 大手8社の16年3月期単体決算は、利益重視の受注戦略による工事採算性の向上に、原油安に伴う製造販売部門の利益率向上なども重なって、6社が営業増益となり、好調をキープしている。
B 各利益が過去最高を更新した社も複数あるが、東日本高速道路東北支社発注工事に絡む指名停止の影響もあり、今通期は大半の社が減収減益を見込んでいる。市場環境がまだ良好なだけに、今回のペナルティーは各社にとって大きな痛手だ。
D 大半の社は指名停止による官公庁工事の元請けと下請けの減少などによる受注高の減少を予想している。期中に営業停止処分を受ければ、業績の下振れもあり得る。
C 既に前期の後半から、指名停止を見込んだ「先取り」で受注合戦が激化していたという話も聞く。指名停止明けの競争激化という利益圧迫要素もあり、当面は各社とも予断を許さない状況が続きそうだ。
E 設備は昨年の第2四半期からの傾向が、そのまま継続している。通信は業績が前期を下回ったが、電気と空調は好調だ。通信は、大手キャリア(通信会社)の設備投資抑制が響いている。電気と空調は、利益が大幅に改善している。通信以外は工事量が増加したため、利益率の良い工事を選んで受注できるようになったことが、増益の一番大きい要因だ。
F 利益が2倍強に伸びた三機工業の長谷川勉社長は、決算説明会で「いい形でゴールができた」と評価したが、「ことしに入って経済が減速している」と警戒感も示し、設備投資の抑制を見込んで産業空調の受注を「慎重に見ている」と述べた。空調最大手の高砂熱学工業は、採算性重視の姿勢を強く打ち出し、今期は単体の受注を前期比6.8%減に計画している。「採算性が維持できれば取っていく」が、そうでなければ受注を見送るというメッセージが込められている。
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B 労務費や資材価格に大きな変動がなく、落ち着いていたため国内建設工事の採算が大きく改善した。単体の完成工事総利益(工事粗利)率は、主要26社中25社が前期を上回り、うち10社が10%を超えた。
C 需要の増大を背景に、採算を度外視した低価格受注は影を潜め、利益重視の受注を徹底した結果が今回の好業績に結び付いている。特に建築の工事粗利率は3年前に平均3%台まで落ち込んでいたが、16年3月期は9%台まで回復した。22社が前期を上回り、うち7社が10%以上となった。
D 本業の回復により、連結営業利益は大幅に伸びており、過去最高を記録したゼネコンが複数あった。連結営業利益率が5%以上だったのは大手4社を含む15社で、多くのゼネコンが8%以上を目安に掲げる自己資本当期純利益率(ROE)も22社が前期を上回り、10%台が9社、20%台が5社、30%台が2社、40%台が1社だった。
B 業績の先行指標となる単体受注高は20社が前期を上回り、次期も13社が増加を見込んでいる。首都圏を中心に不動産投資の動きは依然活発な状況で、公共事業予算の前倒し執行への期待感もあり、高水準の受注環境が続く見通しだ。
D ただ、次期の連結営業利益については、17社が減少を予想している。工事量の増加と施工の集中に伴って今秋以降にも労務・資機材の需給がひっ迫し始めると見込むゼネコンも多く、その動きを見越したより慎重な舵(かじ)取りが必要になりそうだ。
A 道路舗装会社の状況はどうかな。
C 大手8社の16年3月期単体決算は、利益重視の受注戦略による工事採算性の向上に、原油安に伴う製造販売部門の利益率向上なども重なって、6社が営業増益となり、好調をキープしている。
B 各利益が過去最高を更新した社も複数あるが、東日本高速道路東北支社発注工事に絡む指名停止の影響もあり、今通期は大半の社が減収減益を見込んでいる。市場環境がまだ良好なだけに、今回のペナルティーは各社にとって大きな痛手だ。
D 大半の社は指名停止による官公庁工事の元請けと下請けの減少などによる受注高の減少を予想している。期中に営業停止処分を受ければ、業績の下振れもあり得る。
C 既に前期の後半から、指名停止を見込んだ「先取り」で受注合戦が激化していたという話も聞く。指名停止明けの競争激化という利益圧迫要素もあり、当面は各社とも予断を許さない状況が続きそうだ。
E 設備は昨年の第2四半期からの傾向が、そのまま継続している。通信は業績が前期を下回ったが、電気と空調は好調だ。通信は、大手キャリア(通信会社)の設備投資抑制が響いている。電気と空調は、利益が大幅に改善している。通信以外は工事量が増加したため、利益率の良い工事を選んで受注できるようになったことが、増益の一番大きい要因だ。
F 利益が2倍強に伸びた三機工業の長谷川勉社長は、決算説明会で「いい形でゴールができた」と評価したが、「ことしに入って経済が減速している」と警戒感も示し、設備投資の抑制を見込んで産業空調の受注を「慎重に見ている」と述べた。空調最大手の高砂熱学工業は、採算性重視の姿勢を強く打ち出し、今期は単体の受注を前期比6.8%減に計画している。「採算性が維持できれば取っていく」が、そうでなければ受注を見送るというメッセージが込められている。
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