2013/02/04

【笹子トンネル】国の調査委が「コンクリ問題なし」と断定

笹子トンネル概要(国交省資料より)
国土交通省は1日、中央自動車道笹子トンネル上り線の天井板崩落事故の原因究明・再発防止を検討している「トンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会」(委員長・今田徹東京都立大名誉教授工学博士)の第3回会合を開き、笹子トンネル天井板など点検結果を示した。今田委員長は、試験結果を踏まえ「コンクリートについては問題がないという判断が、いまの時点で得られた。ほかに原因が考えられるのは、アンカーや構造の問題になるのではないか」とアンカーボルトなどの試験結果の分析をさらに続ける考えを示した。
 笹子トンネル上り線の天井板緊急点検によると、アンカーボルトの欠落は5カ所、脱落(人力による抜け)が3カ所、ゆるみが1004カ所、腐食による断面欠損が16カ所となった。吊金具ボルトは欠落18カ所、脱落14カ所、破損・変形20カ所、受台ボルトは欠落4カ所、脱落1カ所、破損・変形1カ所、覆工コンクリートのアンカーを跨ぐひび割れは125カ所だった。
 接着系アンカーボルトの引き抜き抵抗力試験では、十分な強度があるアンカーボルトがある一方で強度不足も確認された。全体として安全率は確保されているものの、183カ所中16カ所で安全率以下のボルトがあった。中今田委員長はこの結果を「強度にバラツキがある。なぜこうなったのか、さらに検討が必要だ」とした。
 今後、試験結果を踏まえて分析を進める。今田委員長は「事象が複雑だ。試験結果と検討結果を付き合わせて分析しなければならない。(接着系アンカーボルトが事故原因である可能性は)分析中で何とも言えない。(経年劣化や施工が原因である可能性も)いずれも排除しない」と語った。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年2月4日 2面

Related Posts:

  • 【天井板崩落】つり方式天井板があるトンネル一覧 一般的な天井板設置の構造例 つり方式の天井板がある高速道路会社と国管理のトンネルは次のとおり(国管理は精査中、つり方式ではない両端支持方式は除く。カッコ内はトンネル長さ)。 国交省HPより 〈東日本高速道路〉 ▽関越道=関越トンネル上り(11.1㎞)、下り(10.9㎞)▽北陸道=能生トンネル下り(3㎞)▽同=高の峰トンネル下り(3.1㎞)▽同=子不知トンネル上り(4.6㎞)▽同=市振トンネル下り(3.3㎞)▽アクアライン=東京湾アクア… Read More
  • 【笹子トンネル】国の調査委が「コンクリ問題なし」と断定 笹子トンネル概要(国交省資料より) 国土交通省は1日、中央自動車道笹子トンネル上り線の天井板崩落事故の原因究明・再発防止を検討している「トンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会」(委員長・今田徹東京都立大名誉教授工学博士)の第3回会合を開き、笹子トンネル天井板など点検結果を示した。今田委員長は、試験結果を踏まえ「コンクリートについては問題がないという判断が、いまの時点で得られた。ほかに原因が考えられるのは、アンカーや構造の問題になる… Read More
  • 【アルジェリア】人質事件受け、現地の鹿島JVが夜間の外出を禁止 アルジェリアで起きた人質事件を踏まえ、現地で高速道路の施工を進めている鹿島・大成建設・西松建設・ハザマ・伊藤忠商事JVも安全対策を強化している。施工区域は、事件があった南部に比べて危険性は低いとされているものの、事件発生後は不要不急の外出や夜間の外出を禁止した。現地に滞在している日本人は現在、鹿島単体で47人、JVで約90人、協力会社やコンサルタントなどを含めると200人弱に及ぶ。 鹿島は、「外務省による危険情報をベースとした安全対策を導入し… Read More
  • 【笹子トンネル】丸ごと抜けたボルトも確認 国交省検討委が現地調査 山梨県の中央自動車道上り線の笹子トンネル崩落事故で、有識者で構成される国土交通省の調査・検討委員会は4日、事故現場で調査を行い、天井板のつり金具を最上部で支える「アンカーボルト」の状況などを確認した。 東京都立大(現首都大学東京)名誉教授の今田徹委員長は、報道陣に対し「ボルトは丸ごと抜けていたものも、残っているものもあった。こんな大規模な崩壊が起こるとは考えたことがなかった。調査には時間がかかる」などと説明した。 今田委員長や国交省によると、… Read More
  • 【笹子トンネル】地方管理分でも同じ構造が12カ所 国交省調べ 笹子トンネルの天井構造(作者:Marine-Blue) 国土交通省は5日、中央自動車道上り線笹子トンネルの天井板落下事故を受け、都道府県など地方管理分の同構造のトンネルの調査結果を公表した。都道府県管理が5カ所、政令市が1カ所、地方道路公社が6カ所の合計12カ所となった。今後、各道路管理者が、国が高速道路会社などに指示したものと同様の緊急点検を実施する。既に点検を実施済みのトンネルもあり、今後、点検するトンネルは8件となる。 今後緊急点検を… Read More

0 コメント :

コメントを投稿