2013/02/03

【復興版】被災地初、岩沼市に再建住宅の専用展示場

建設中のモデルハウス
被災者の住宅自主再建を支援するため、オオバは被災地で初となる復興住宅展示場を宮城県岩沼市に開設する。事業のかぎとなるハウスメーカーも確保、4月26日のオープンを目指して準備を進めている。同社は、被災者に的を絞った展示場のアイデアを実現するため、宮城県に相談した。県からは、被災地で最も早く防災集団移転促進事業に伴う造成工事に着手するなど、復興への進捗が早い岩沼市の紹介を受け、同市に提案した結果、被災者向け住まい再建相談事業として受託した。「復興応援岩沼ハウジングパーク『のぞみ』」と名付け、2年間設置する。
 通常の展示場と大きく異なる点は、場内に市の行政相談窓口を併設することと、本体価格が2000万円以下のモデルハウスを展示することである。一般的なモデルハウスは、消費者にアピールするため規模が大きく、設備や内装にもお金をかけることから、価格は3000万円、4000万円と高額になる。
 多くの被災者は手持ち資金が少なく、できるだけ価格を抑えた住宅を望んでいる。これに対しメーカー側は、安い商品だと利益につながらないため、復興に貢献したくても出展に二の足を踏む企業も少なくなかったという。さらに、被災地は住宅需要が旺盛で、メーカーが繁忙という事情もある。
 しかし、被災者支援を企業の社会的使命ととらえ、地元の2社や全国大手など計14社が参加を決めた。展示場は集団移転先に隣接する三軒茶屋西土地区画整理事業の保留地に建設、2年の展示期間が終わればモデルハウスを売却できるため、保留地を処分できるメリットもある。
 同社は、個人の住宅にまでは対応できない自治体に代わり、宮城県石巻市などで手掛けた被災者の個別相談業務を通して得たノウハウも生かし、被災者のニーズにきめ細かく応えて復興を後押しする。
 清水孝太事業ソリューション部担当部長は、「岩沼市は他の自治体よりも(復興事業が)進んでいるので、今秋から移転先で建てられる」と見通す。県北部でも今回と同様に官民協働で展示会を開設、生活の拠点である住宅をスムーズに再建できるよう、被災者をサポートしたい考えだ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年1月31日 6面

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