2013/02/05

【建築】日本建築大賞に陶器浩一氏の「竹の会所」 協会賞は新居千秋氏

竹の会所(撮影:堀田貞夫)
日本建築家協会(JIA)は2日、東京都渋谷区の建築家会館で2012年度優秀建築選公開審査会を開き、第8回日本建築大賞に陶器浩一氏(滋賀県立大)が設計した「竹の会所」を選んだ。協会賞は、新居千秋氏(新居千秋都市建築設計)の「由利本荘市文化交流館カダーレ」、堀場弘氏・工藤和美氏(シーラカンスK&H)の「金沢海みらい図書館」、渡辺真理氏・木下庸子氏(設計組織ADH)・新谷眞人氏(オーク構造設計)の「真壁伝承館」の3点に決まった。


由利本荘市文化交流館カダーレ
金沢海みらい図書館(撮影:淺川敏)
真壁伝承館
審査会は4作品に坂本一成氏(アトリエ・アンド・アイ坂本一成研究室)・金箱温春氏(金箱構造設計事務所)の「宇土市立網津小学校」、青島裕之氏(青島裕之建築設計室)の「八峰町役場庁舎」を加えた6作品のプレゼンテーションの後、斎藤公男、三宅理一、大森晃彦の3氏が公開で審査した。
 大賞の竹の会所は宮城県気仙沼市で地域に生えた竹を使い、地域の人たちと協力しながら学生らが自分たちの手でつくり上げた仮設の集会所。三宅氏は「このような建築がJIAで出てきたことはなかった。新しい境地を開くものだ」と評価した。
 陶器氏は「これが大賞をもらっていいのか恐縮している。実感がわかない」と謙虚に受賞の喜びを語った上で「学生と子どもたちの純粋な心のふれあいを見ていると、建築の始まりが人の集まるところにあるということを気付かされた。建築は放っておくとどこかに飛んでいってしまうが、美しく羽ばたけるのは大地と離れないようたこの糸のように下で引っ張っているから。被災地で生きる人のまなざしを見ていると、これがたこの糸なのだと感じる」と座右の銘とする山本学治氏の言葉を用いて建築の意義を述べた。
 斎藤氏は「建築と技術がどう融合し、触発、統合するのかに興味がある。6作品とも見事に価値観が共有されていた」と全体を評価した。同賞の応募総数は173作品だった。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年2月5日 1面


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