2013/02/11

【復興版】仮設住宅でペットとの共棲探る 田村工学院大准教授が研究中

仮設住宅でペットとともに暮らすためには何が必要か--。工学院大学建築学部の田村雅紀准教授は、東日本大震災で多くのペットが仮設住宅に同居することが困難だったことを踏まえ、ペットと共棲(きょうせい)できる仮設住宅に必要な考え方、機能を研究している。仮設住宅の類型化、共棲住宅向け建材の開発など環境づくりを通じて、心の豊かさを含めたQOL(生活の質)向上につなげることが狙いだ。
 日本では、猫1000万匹、犬1200万匹がペットとして飼われ、飼育数の増加に伴い飼育可能なマンション数は50%を超えるといわれている。
 東日本大震災では、ペットとともに避難できたとしても、避難所では飼育が難しく、ペットを手放さざるを得なくなった事例もある。首都直下地震が発生した場合のシミュレーションでは、全仮設住宅の約7%に当たる3万1600戸の共棲可能住宅が必要になると予測している。
 田村准教授は、特定域騒音を吸収する建材の開発などを研究しており「ペットの鳴き声が外に漏れないような断熱材を開発できれば、コミュニティーでの問題も少なくなる」と、飼い主が心地よく感じられる壁紙などをあわせた“モノ"の充実を解決策の1つに挙げる。
 同時に、屋内中心、屋外中心、施設内限定など、仮設住宅でのペット居住を類型化し、平常時と災害時の住環境の違いを体系化することで、QOLの改善方針に道筋をつけた。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年1月31日 12面

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