2013/03/15

【竣工】「WATERRAS」淡路町二丁目西部地区再開発が完成!

江戸時代には大名屋敷、武家屋敷が広がり、明治時代には市電・鉄道の結節点として栄えていた淡路町地域。しかし、近年は民間建物の更新の遅れや人口の減少の進展に伴う地域コミュニティーの停滞に加え、緑やオープンスペースの少ないことに伴う防災・環境面の不安が課題となっていた。これらの課題を解決した地域コミュニティーの中核施設「WATERRAS(ワテラス)」が竣工した。
 WATERRASには、「輪(コミュニティー)を照らす」、つまり住まう人・働く人・学ぶ人の新しいコミュニティーの創造を目的とした街づくりへの想いが込められている。さらに、「WA(和・輪)とTERRACE(段丘)」という、テラス状の敷地に創造される和をテーマとした庭とタワーを表現するとともに、「WATER(水)とTERRA(大地)」という緑に包まれた広大な敷地に、清らかな水が流れる潤いのある豊かな街区を表現している。設計を佐藤総合計画が担当し、大成建設がその意図を具現化した。WATERRASは、かつての賑わいを淡路町地域にもたらす。


アトリウム
◇レベル差ある地形にオープンスペース

  敷地は4敷地・2街区(北街区と南街区)からなり、北街区は淡路公園と、南街区は区立の保育園・高齢者施設、公共広場と一体整備する。周辺には秋葉原電気街・御茶ノ水学生街・神田小川町スポーツ用品店街など、特徴のある界隈があり、本開発により都市の回遊性を誘発し、商業・業務機能と居住機能が共存した賑わいのある都市空間を創出することが求められた。
 北街区建物は、西側に高さ165mのタワー棟、東側にアネックス棟、敷地中央の地下鉄上部にアトリウム(半屋外空間)を配置している。アトリウムは、建物の主要な施設動線を集約するほか、また来訪者の憩いのスペースを設置するなど、施設のシンボル空間として計画した。
 敷地は約7.5mのレベル差を有し、御茶ノ水駅側から、隣接する再開発より3階レベルのブリッジにより接続する。公園と連続する低層部分は、レベル差のある地形を利用し、水と緑あふれる豊かなオープンスペースを形成した。
 外観はタワー棟オフィスと住宅、アネックス棟の3つのボリュームをユニットカーテンウォールによる統一、高層部の住宅の外壁をセットバックさせ高さ感を低減、周辺建物との調和に配慮している。平面計画においては、南西・北東の対角を曲線とし、建物のボリューム感の低減および特徴的なスカイラインを形成するとともに、周辺への風環境の影響に配慮した。
 低層部は、障子をイメージしたカーテンウォール等により、和のモチーフを取り入れ、須田町老舗街等の歴史ある街並みとの調和を図っている。
 新たな街づくりの取り組みとして、地域活動をサポートする学生マンションをアネックス棟の最上部に独立配置し、交流スペースとしての中庭やラウンジを確保した。地域交流を促すコミュニティー施設は、淡路公園やイベント広場に面し、内外を通して開放的な空間づくりを行い、日常利用を促すとともに、災害時には防災拠点施設としての役割を担っている。
(佐藤総合計画 第一設計室 プロジェクトリーダー 持田誠一)


本体棟のロビー
◇土被り浅い地下鉄上部にSMW工法

 施工にあたっての最大のポイントは、敷地の真ん中を通る東京メトロ丸ノ内線に影響を与えないことだった。建設地は地下駅舎の淡路町駅と地上駅舎の御茶ノ水駅の間に位置し、土被りが浅い。しかも地下鉄の両側を掘削しなければならなかった。このため、周辺地盤に対する影響が少なく、遮水性に優れるSMW工法を採用した。
 工事を進めるにあたっては、連壁の動きを24時間自動計測し、現場のパソコンで管理、変動のあった場合は、夜間でも警報メールが各社員の携帯電話に流れるように万全の体制をとった。掘削開始から完了まで1年半、トラブルは一度もなかった。
 施工にあたり作業所長として現場を指揮した金泉友二所長は「仮囲いの中で働く人はもちろん、近隣の方々や歩行者にも配慮した安全作業と、地権者の方を始め近隣の方々と密接に関わりを持つことで、地域のコミュニケーションの核となることを心がけた」と語る。
 現場の運営には、まず安全第一に努める。その一つが「落ちない・落とさない・(火災)起こさない」の「O3(オー・スリー)宣言」。横断幕を掲げ、ヘルメットにO3宣言のシールを貼り、違反者は退場させることも辞さない覚悟で臨んだ。
 また、『地図に残る仕事』に誇りを持って、造る喜びを感じながら仕事のできる魅力ある職場づくりに努めた。とくに、技能者が減少していることから、建設産業を衰退させないように、社員を含め「明日の建設人を育てる」ことも念頭に置き、現場運営に取り組んだ。
 環境問題、節電にも取り組んだ。ごみは53種類に細かく分別し、リサイクルした。夏場の節電では、こまめに冷房を切るだけでなく、汲み上げた地下水を現場事務所の屋根に散水し、冷房効果を高めるなどの工夫もした。
 竣工にあたり金泉所長は「技術面だけでなく、労務不足もあり、非常に難しい工事でしたが、組合事務局や設計事務所の方々の理解と協力を得て、竣工を迎えることができ、感謝しています」と話すとともに「地権者の方々は、建物が早くできるのを心待ちにしておられ、見学に来られたときは、施工が順調に進んでいることに嬉しそうな顔をされていた。そういう場面があったことは最大の喜びです」とものづくりの喜びを改めて語ってくれた。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年3月15日

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