2013/03/31

【げんば最前線】5千個の石材を解体調査 仙台城中門と本丸北西被災石垣復旧

仙台藩の開祖・伊達政宗が1602年に築城した仙台城(通称・青葉城)は、震災とその後の大きな余震で、本丸北西部の石垣などが崩壊した。国指定史跡として文化財指導員の指導のもと、構築当時の在来工法を使って修復するため、多くの制約がある中、復旧工事を担当する大林組により約5000個にも及ぶ石材の解体や調査が丁寧に進められている。

◇1939年の復旧工事が影響か

 最も大きく崩落した本丸北西部の石垣は、高さが約0.7m-6.8m。長さ200mのうち、3カ所約60mが崩壊した。市教育委員会は、「地形と地盤に加え、1939年ごろに行われた復旧工事の工法上の要因が複合している可能性がある」とみている。
 復旧に向けて市は、土地を所有する宮城護国神社と協議し、崩落地周辺を国史跡・仙台城跡に追加指定。文化庁から災害復旧事業の補助を得て、2012年6月に工事を発注した。受注した大林組は、測量などを経て、同8月から石垣上部の樹木などの伐採作業を開始。歩行者用道路の切り回しなどの準備工を進め、天端の遺構確認を終えた石垣の解体に着手できたのは同11月だった。
 高橋一作業所長によると、「史跡修復の基本は伝統的な在来工法のため、江戸時代に造った堀山を乱さないように掘削するよう細心の注意を払った。ことしは降雪が多く、遺構を傷つけないように現場の除雪も手作業だった」と厳しい作業環境を振り返る。


◇石1つずつ採寸・清掃

 石垣の修理・修復の豊富な経験を持つ中村石材工業(大阪市)の石工を中心に行う作業は、初めに石材の番付けと墨出しを行う。一石ずつ採寸・清掃し、崩落地点や構築当時の技法を記録した後にクレーンで運び出す。「形状や大きさが異なる石材を傷つけずにクレーンで搬出する作業は難しいが、熟練した石工はいとも簡単にやってのける」と、高橋所長もその技術に舌を巻く。
 解体した石材は、個別調査を行った後、13年度からの積み直しに使うため保管している。「表面には江戸時代の元号や西暦が記されたものもあり、この地域を幾度となく襲った地震からの修復歴として、災害復旧の歴史という観点からも貴重な記録ではないか」と高橋所長は語る。

修復の終わった部分

◇構築当時の伝統工法で復旧

 また、並行して進めてきた中門石垣の修復は、本丸北西と同様に調査と解体を行った後、1977年の修復工事で使用されたコンクリートをはつり、構築当時の伝統的工法を基本に、可能な限り元の石を戻した。変形に対応するため、いくつかの石材は加工や取り替えが必要となったが、資材確保の難しさを強調しつつ「北門修復時に余った石材で代替することができたのは幸運だった」と高橋所長。
 仙台市は、13年度で本丸北西部のうち南部、14年度に北部の修復を完了させる予定だ。同社が復旧工事を実施している石垣前の市道青葉山跡線も震災前は1日約1万台の車両が通行していたため、既存道路に近い個所には法面補強を施工し、崩落抑制やはらみ出しを抑制するなどの安全対策を行うという。
 多くの観光客が訪れる仙台市の主要観光施設だけに、早期復旧を望む声が多い。復旧完了は15年3月になる見通しだ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年3月26日

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