2017/02/28

【復興特別版】宮城県で北上川・鳴瀬川の河口部復旧が完成 堤防や水門が住民生活守る


 東日本大震災の津波により甚大な被害を受けた北上川河口部(宮城県石巻市)と鳴瀬川河口部(同県東松島市)の復旧・復興事業が完成し、25日に両市でそれぞれ式典が開かれた。震災から6年を迎える前に、住民生活の安全を守る堤防や水門が完成したことを盛大に祝った。写真は北上川河口部(写真提供・東北地方整備局北上川下流河川事務所)

 両河口部とも津波により、堤防の流出や水門の倒壊・破損などが発生。東北地方整備局は、洪水期を迎える前に応急復旧として堤防を被災前の高さまで盛土を行った上で、2012年2月から本格復旧に着手した。
 北上川河口部では、今後の津波に備えるため、河口から約1.3㎞の区間について堤防高を震災前より3.8m高いTP(東京湾平均海面高)8.4mに設定し、約17.9㎞にわたって堤防整備を実施した。事業費は約644億円。
 堤防上に工事車両迂回路を設けることで地域住民の生活環境と安全確保に努めたほか、汽水域の生物への影響を低減させるために専門家からアドバイスを受けた。
 工事は16年度中に約9割が完成する。残りの区間も17年度中に終了する予定だ。

鳴瀬川河口部(写真提供・東北地方整備局北上川下流河川事務所)

 一方、鳴瀬川河口部は今後の高潮に備え、河口から約1.2㎞の区間に従前より1m高いTP7.2mの堤防を整備した。総延長は約6.6㎞。また、破損した野蒜水門は本体およびゲートを活用しながら既存施設の背後にかさ上げして構築した。新水門も景観を妨げないように、以前と同じれんが張りとした。水門を含めた総事業費は約180億円。
 東松島市の小野市民センターで開かれた式典の席上、あいさつした末松信介国土交通副大臣は「堤防の完成が人々の生命・財産を守り、復興の実感につながるとともに、水辺が震災前のように利用され、親しまれる空間になることを期待したい」と語った。この後、野蒜水門の記念れんが設置や記念植樹、くす玉開披および記念碑の除幕などが行われた。
 北上川河口部の完成式典は石巻市の河北総合センターで開かれ、月浜第1水門の始動式などがあった。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

Related Posts:

  • 【竹中工務店】七郷小学校の6年生制作の“未来の七郷まちづくり”模型を展示 4/15まで@仙台市  竹中工務店が日本ユニセフ協会から受託し、山形大学と協働で取り組んでいる被災地の子どもの成長を支援する復興カリキュラム「子どもと築く復興まちづくり」。その一環として、仙台市立七郷小学校の6年生が制作した“未来の七郷まちづくり”の模型展示が、同社東北支店がある仙台市青葉区の仙台定禅寺ビル1階で始まった。会期は4月15日まで。  この取り組みは、同社が専門とするまちづくりや建築分野のノウハウを生かし、子どもたちに楽しくまちづくりを体験してもら… Read More
  • 【パシコン】東松島市に「Harappa」開店! 住民を中心に直売所とベーカリーで地域活性  パシフィックコンサルタンツは、宮城県東松島市に東松島地域活性化施設「Harappa(はらっぱ)」をグランドオープンさせた=写真。農水産物直売所「yaoya(やおや)」とベーカリー「畑のパン屋さん」からなり、地域住民の日々の暮らしを支えるとともに、地場産品の販売を通じてコミュニティーの活性化を目指す。 農水産物直売所「yaoya」  東日本大震災からの復興、環境未来都市を進めるために設立され、官民学が参加する「東松島みらいとし機… Read More
  • 【EE東北】最新の建設技術・工法の中から復旧・復興に関する7技術をピックアップ! 最新の建設技術・工法を一堂に集めた「EE東北’15」が3、4の両日、仙台市宮城野区の夢メッセみやぎで開かれた。出展者310者、出展技術845件、来場者1万4000人は、いずれも過去最多を更新。震災からの復興が山場を迎える中、「復旧・復興に関する技術」が161件展示され、来場者の関心を集めた。その中から7技術をピックアップした。 ◆ハンドルがないグレーダー 日本キャタピラー東北支社は、新世代モーターグレーダーを発表した。新しいモーターグレ… Read More
  • 【復興特別版】「建築家にできることが必ずある」 陸前高田市コミュニティホール設計の丹下氏に聞く 東日本大震災から4年が過ぎ、復興に向けて官民の多くの建築プロジェクトが進行している。一方で、居住地の移転に伴うコミュニティーの断絶という新たな問題も生じている。こうした状況下において、建築の役割とは何かが改めて問われている。シンガポール赤十字社からの義援金が建設費に充てられ、高台移転した復興住宅に隣接して建てられたコミュニティー施設「陸前高田市コミュニティホール」を設計した丹下都市建築設計の丹下憲孝代表に聞いた。  震災発生当時、海外にいた… Read More
  • 【南三陸町役場】つながる“マチドマ"17年9月完成へ 歌津支所が本格着工 役場庁舎の完成模型 東日本大震災の津波で全壊した宮城県南三陸町の本庁舎と歌津総合支所の新築工事が24日、錢高組・山庄建設JVの施工で本格着工した。設計・監理は久米設計が担当。2017年9月の完成を目指す。  同町は、志津川町と歌津町役場が合併して05年10月に誕生。旧志津川町役場を本庁舎、旧歌津町役場を総合支所として利用していたが、ともに11年3月の震災で全壊し、仮設庁舎で業務を行っている。 歌津支所の完成模型 本庁舎は15年1… Read More

0 コメント :

コメントを投稿