2013/03/01

【建築】間伐材を構造材に 大林組らがシステム工法で木造仮設

大林組と東京大学生産技術研究所は、間伐材小径木を活用したシステム工法による木造仮設建築を共同開発した。木質バイオマスへの利用以外は、主に木杭など土木の仮設用材に用途が限定されていた間伐材小径木を構造材に利用する国内初の技術で、この工法を活用した環境配慮型仮設工事事務所「ECOサイトハウス」を建設・運用した実証試験を開始した。

内観
国内森林育成の観点から、2010年10月に公共建築物木材利用促進法が施行され、公共建築物での国産木材や間伐材の利用が求められているが、間伐材は、末口直径約130mm、樹齢約20年の小径木が多く発生し、その強度にばらつきがあり、製材可能な木材断面も小さいため、利用先や用途が限定的だった。
 間伐材小径木の利用・用途拡大のため、大林組と東大生産技術研究所は、木材を傷つけずに組み立て・解体できる特殊な仕口金物と、1200mmごとに柱を設ける多柱空間によるシステム工法化を開発し、構造材利用を実現した。
 ECOサイトハウスは、大林組のロジポート相模原工事事務所(相模原市)の敷地内に建設。システム工法に加え、太陽光発電、消費電力の見える化、断熱性能強化、オールLED(発光ダイオード)照明、昼光利用など環境配慮技術を取り入れ、システム工法の施工性評価、環境効果の測定、使用者アンケートによる快適性の評価、解体後に再利用可能な部材率を調査する。
 間伐材の活用による建設資材生産時のCO2排出削減などが期待でき、試算では、100㎡のECOサイトオフィスを100棟建てると4万8500㎡の森林と同等のCO2を吸収。省エネ手法の組み合わせで、従来型仮設事務所と比較して年間消費電力量を約63%削減する。
 今後、実証試験でシステム工法を改善しながら、将来的には展示会ブース、建物内装、小規模店舗や住宅などに適用していく。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年3月1日

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