2013/03/28

【隈研吾】「ただの復元ではない」 隈氏が歌舞伎座の設計意図を解説

4月2日に再開場を控える『GINZA KABUKIZA』。1889年創設の初代歌舞伎座から数えて五代目となる。柱の袴部分や欄干の金具などは既存の部材を活用、外観や客席などは吉田五十八の設計による第4期歌舞伎座を生かしつつ、岡田信一郎の残した第3期から続く桃山様式を踏襲した。
 しかし、「かつての歌舞伎座をただ復元しただけではない」と設計を担当した隈研吾氏は強調する。その言葉どおり、東京地下鉄東銀座駅と連続する地下2階には広場を新設したほか、5階には自由に出入りできる屋上庭園を整備、都市との新たな連続性を生み出した。
 「今回、一番やりたかったのは新しい公共空間としての『芝居町』の創出だった」とも。かつての「木挽町(こびきちょう)」という地名に芝居見物の意味があったように、都市と劇場が一つにつながれた新しい芝居町の誕生に期待を込める。
 設計に当たっては「歌舞伎座そのものを残すのではなく、歌舞伎座という『型』を継承するよう意識した」という。「それぞれが頭の中に思い描くかつての歌舞伎座の姿は異なっている」からだ。
 隈氏は「外観を彩る『白』という色にしても、3期歌舞伎座初期の純白、後期のベージュがかった白、4期歌舞伎座の白と、それぞれが異なっている」と指摘する。その上で「変わり続けている歌舞伎座に『元の姿』はない。特定の時期の歌舞伎座を復元するのではなく、ある程度幅のある期間における流れの中で歌舞伎座をとらえた」設計としている。
 規模は、S・SRC造地下4階地上29階建て延べ9万4097㎡。1-3階が劇場、7階以上がオフィスとなる。無柱空間である劇場の直上に高層棟を整備するという他に類のない挑戦となったが、5-6階の2階層に及ぶスーパーストラクチャーを採用。高層棟から加わる力を分散することで実現した。
 劇場では、2階席の柱を取り除き、1階席の見やすさを大きく改善したほか、3階席も客席全体の傾斜を増すことで花道の「すっぽん」まで見渡せるようにしてある。
 同施設は、隈研吾建築都市設計事務所と三菱地所設計が共同設計し、清水建設が施工した。
 場所は東京都中央区銀座4-12-15。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年3月28日

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