2013/01/10

【現場】線路を17またぐ難工事 鹿島田こ線人道橋新設


送り出し作業で17線を跨ぐ
東鉄工業・相鉄建設JVは、川崎市のJR新川崎駅前で施工している「新鶴見機関区構内鹿島田こ線人道橋新設その他工事」のうち、線路17線の直上に総重量250t、延長123mの橋桁を架設する最難関作業が完了した。専用設備上に地組みした橋桁を計5回の送り出し工事で、順次進捗させていった。送り出しの距離は延べ100mに至った。 今後は、桁のジャッキダウンや既存道路橋との接続通路の架設工事を進めていく。

 この事業は、川崎市から工事を受託した東日本旅客鉄道(JR東日本)横浜支社が実施している。施工に当たっては、3年もの協議期間を要した。東海道貨物品鶴線など17線の線路閉鎖、キ電停止の間に作業しなければならない時間的制約に加え、商業施設やマンションに近接するという敷地的制約もクリアする必要があったためだ。
 受発注者連携のもと、綿密な架設計画を練り、リスク管理のシミュレーションを繰り返した上で臨んだ送り出し工事には、毎回50人以上の関係者が集まった。10月24日の初回を皮切りに、12月7日までに計5回の作業を完遂した。
 送り出しの距離が32.5mと最も長い第1回作業では、電動モーターを用いることで短時間施工を実現した。16-18mを押し出す第2-5回作業は、新鶴見機関区構内区間となるため、水平ジャッキと250tシンクロジャッキを使用し、安定した反力を確保。送り出し後は、桁を耐震設備に固定するとともに、線路上の跡確認などを行い作業を終えた。
 東鉄JVの久保田幸記所長は、「広範囲にわたり、線路直上をこ線人道橋がまい進する工事だけに、まずは列車の安全輸送を優先した。触車、感電、墜落の3大災害や地震対策など、管理することが非常に多く厳しさもあるが、本支店一丸となったチームワークの良さを生かしていく」と今後の工事に全力を注ぐ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年1月10日3面



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