2016/04/12

【東鉄工業・鉄建JV】大迫力200t級パワーショベル!100t級ジャンボブレーカー! 超大型重機で橋脚解体


 東鉄工業・鉄建JVが整備を進めるJR常磐線利根川橋梁改良工事が最終段階を迎えている。発注は東日本旅客鉄道(JR東日本)東京支社で、快速線と緩行線の間に新たな橋梁を築き、2014年11月には新快速線に切替が完了した。1月から旧橋脚の解体撤去作業に取り組んでいる。橋台2基、橋脚30基を解体撤去する予定で、超大型重機を組み合わせ、効率良く工事を進めている。写真はパワーショベルが橋桁上部をつかむ様子。

 工事では、民家や道路が近接する橋台2基と、流水部と河川内の一般道路に隣接する橋脚7基をワイヤーソーイング工法と大口径コア削孔工法を組み合わせて解体する。ワイヤーソーイング工法は、鋼製紐状のワイヤーをコンクリート構造物に巻き付け、張力を掛け高速回転して切断する方法で、狭い場所での切断も可能にする。しかし、作業架台の設置やワイヤーによる切断作業時の循環水処理設備などに多くの時間と費用が掛かることが難点だった。
 そのため、残り23基の橋脚は当初計画を大きく変更し、超大型重機による解体とつかみ取り作業を組み合せた作業手法を採用した。取り壊し作業では100t級のジャンボブレーカー2台を用意し、橋脚コンクリート上端から4-5mの個所をはつり込む。その後、日本に3台しかない総重量200t級パワーショベルに、最大圧力670t、世界最大の3mのつかみ幅ユニットを装備しコンクリート上部をつかんで倒す。倒した橋脚はジャンボブレーカーで砕き、ダンプで仮置きヤードへ運搬後、さらに30cm程度に分割して場外へ搬出する。

倒した橋桁をジャンボブレーカーで砕く

 この手法により、当初計画のワイヤーソーイング工法に比べて約8億円のコストダウンに成功し、3月までに橋脚13基の解体撤去が完了した。
 超大型重機のため、一般重機と比べ地耐力を向上させる必要があるが、前年度まで旧橋桁の解体で使用した200t級クローラークレーンの作業実績をもとに、厚さ30cm以上の採石を敷設した上に厚さ22mmの鉄板を整備した。
 橋脚1基を対象に超大型重機が複数同時に作業するため、重機誘導員を周囲に配置した。オペレーター、誘導員、工事管理者が無線機で連携し、重機同士の接触や作業員の巻き込まれ防止に細心の注意を払っている。鉄道安全にも十二分に配慮、列車接近時の一時作業中断や新橋梁への接触防止を図る目安工など万全の体制で作業している。
 杉田真彦工事管理者は「このような超大型機械を駆使した作業は、2度と経験できないと感じている。ワイヤーソーイング工法から超大型重機による解体に変更したことで、大幅なコストダウンが実現した。最後まで現場の不安全要素を見逃さず、解体工事を完了させたい」と意気込む。10年11月から従事し、橋脚解体現場を仕切っている福田義弘工事管理者は「超大型重機の誘導経験のない誘導員には、無線機でオペレーターや各誘導員と連携できる体制をとり、作業効率を落とさず、安全な作業形態を築いている。利根川橋梁改良工事の集大成として、最後まで気を抜かず安全な作業で竣工を迎えたい」と抱負を語る。
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