入母屋造りの外観デザイン |
内部は最新の設備でHACCPにも準拠 |
八木澤商店の創業は文化4(1807)年で、200年を超える歴史を持つ。だが、今回の地震と津波で本店、工場、蔵が全壊・流失した。再建中の大原工場は、旧大原小学校の跡地に建設している。
つゆ・たれ製造棟、原料処理棟、生産処理棟合わせて延べ約1500㎡規模の工場だ。長谷川建設(陸前高田市)が施工協力し、醸造プラントは永田醸造機械(神戸市)が納める。
建屋はS造なのだが、随所にこだわりがある。「200年余の伝統と格式を表し、これから先100年、200年継続できるような設計で臨んだ」(早川和孝富士古河E&C営業本部復興支援プロジェクト室主幹)という。
そして、「外観は蔵を意識し、屋根は黒く、白壁、背後の山の景色にとけ込むようなデザインにした。入母屋造りで、卯立(うだつ)や海鼠(なまこ)壁があり、外観は古風だが、中身(設備)はHACCP(危険分析重要管理点方式)に準じた仕様になっている」(神田裕貴雄富士古河E&C電設・建築事業部電設事業部建築部長)。
ことし5月11日に地鎮祭を開き、翌週の15日に本格着工した。
◇人手不足、資材の遅れ克服
「まず苦労したのが人の確保で、たいへん難しかった」とは現場を率いる中谷七雄所長。「鉄骨も地元は生産が手いっぱいで、納期も厳しい状況にあった」(中谷所長)。最大で2週間弱の遅れが生じた時期もあったが、「作業員を確保するため、打てる手はすべて打った」(同)。そのかいあって、8月下旬から醸造設備の搬入、据え付けが始まり、最盛期のいま、80人を超える作業員が従事し、「棟ごと、部屋ごとに同時平行で作業を進めている」(同)。
現場には、八木澤商店の会長、社長も頻繁に訪れ、「そのつど進捗状況に驚いている」(中谷所長)という。
中谷所長は、「これまで同様、引き続き無事故・無災害で施工し、完成させたい」と話している。
つゆ・たれ製造棟は9月末、残る2棟も10月末には完成する予定だ。
建設通信新聞 2012年9月18日6面
『東日本大震災から復活 岩手県陸前高田市 八木澤商店の調味料セット』 AmazonLink
0 コメント :
コメントを投稿