2013/12/06

【建築】ジエームス邸などが受賞 AACA賞と芦原義信賞が決定

「 ジエームス邸と周辺の景観のサスティナブルな存続 」
(撮影 ㈱ナカサアンドパートナーズ 中佐 猛)
日本建築美術工芸協会(aaca)は4日、東京都港区の建築会館ホールで設立25周年記念会と第23回AACA賞・第12回芦原義信賞の表彰式を開いた=写真。AACA賞には応募28点の中から竹中工務店(中村圭祐氏)の「ジエームス邸と周辺の景観のサスティナブルな存続」(神戸市)、芦原義信賞には17点の応募があり、Aterier KIRISHITA+Man go design(岸下真理氏、岸下和代氏、都倉泰信氏、稲垣誠氏)の「日本圧着端子製造株式会社」(大阪市)が選ばれた。AACA賞の優秀賞2点、特別賞1点、奨励賞2点、芦原義信賞の優秀賞1点、奨励賞1点とともに、芦原太郎選考委員長から表彰状が手渡された。

 ジェームズ邸は建築家の早良俊夫が設計した外国人専用の住宅地を結婚式場に改修。「法的制約を乗り越えて歴史的建築と景観を継続維持していく仕組みを構築し、このプロジェクトを実現した関係者に心から敬意を表する」(岩井光男選考委員)などと評価された。
 内外装に木材を多用した日本圧着端子製造は「本社ビルであるが故にオフィスとしての機能性や効率性にこだわらず、オーナーの自由な発想とそれを実現する設計者の新鮮な提案によって生まれた作品」(岡本賢選考委員)など、独創性が高く評価された。
 表彰式で講評した芦原選考委員長は「建築・美術・工芸の力を合わせて空間や環境をつくるのは、言葉でいうのは簡単だがとても難しい。しかし今回、改めて建築・美術・工芸の力を実感した。一般の方も含めて、一人でも多くの方にこういった美意識を持ってもらいたい」と語った。
 また、受賞者を代表して中村氏があいさつし、「多くの文化的建築が失われている中で、新たな息吹を吹き込むことができた。関係者の思いが1つになって、受賞につながったのだと思う」と語った。
「日本圧着端子製造株式会社 」
(撮影 絹巻豊写真事務所 絹巻 豊)

 正賞以外の受賞作品と作者は次のとおり(敬称略)。
 〈AACA賞優秀賞〉
 「式年遷宮記念 せんぐう館」(三重県伊勢市)=栗生総合計画研究所、丹青研究所、中田捷夫研究室、プレイスメディア、ライテングプランナーズアソシエーツ、テクノ工営▽「AKASAKA―K―TOWER」(東京都港区)=KAJIMA DESIGN。
 〈AACA賞特別賞〉
 「東京駅丸の内駅舎 保存・復元」(東京都千代田区)=東日本旅客鉄道、ジェイアール東日本建築設計事務所。
 〈AACA奨励賞〉
 「翼竜のたまご」(名古屋市)=坂上直哉▽「新潟市江南区文化会館」(新潟市)=新居千秋。
 〈芦原義信賞優秀賞〉
 「中央区中央小学校 中央幼稚園」(東京都中央区)=久米設計(小牧実豊、藤森慶弘)。
 〈芦原義信賞奨励賞〉
 「秘密のくり園」(北九州市)=高橋彰子(ennne・明星大学)、高橋博朗(enne)。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

Related Posts:

  • 【講演会】乾久美子氏が宮城県七ヶ浜中学校や延岡駅周辺整備プロジェクトを紹介 東北芸工大 東北芸術工科大学は7月1日、山形市の同大学建築・環境デザイン学科ギャラリーで建築家の乾久美子氏(乾久美子建築設計事務所代表)=写真=を招き講演会を開く。  当日は「七ヶ浜中学校などについて」と題し、近作の宮城県七ヶ浜中学校や宮崎県延岡駅周辺整備プロジェクトなどを紹介する。午後6時30分から。定員は100人で、入場は無料。問い合わせは同学科・電話023-627-2189。 建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら … Read More
  • 【作品募集】第23回「愛知まちなみ建築賞」 7/1~8/20まで受け付け 愛知県 愛知県は、第23回「愛知まちなみ建築賞」の作品を7月1日から8月20日まで募集する。2010年4月1日からことし8月20日までに建築や改修などをした建築物やまちなみが対象。建築主・設計者・施工者からの応募のほか、一般からの推薦も受け付ける。審査結果は16年1月ごろに発表・表彰する。  応募希望者は、同賞ホームページから必要な用紙をダウンロードし、事務局(建設部公園緑地課)まで郵送か電子メールで申し込む。問い合わせは、電話052-954-66… Read More
  • 【建築デザイン発表賞】星尚之さんら仙台高専チームに栄誉 建築学会東北 日本建築学会東北支部(源栄正人支部長)は20日、山形市の山形大学で第1回東北支部デザイン発表会を開いた。20、21日の両日に開催した市民開放型イベント「みちのくの風2015山形」の一環として実施した。初の「建築デザイン発表賞」には、星尚之さん(仙台高等専門学校生産システムデザイン工学専攻1年)ら5人=写真=の「公共建築物建設プロセスにおける住民参加の拡充-遊佐町まちづくりセンターにおける取り組み」が選ばれた。  同発表会は、研究発表がベース… Read More
  • 【現場最前線】100年使用できる“秋田らしい”庁舎に! 省力施工で進む秋田市新庁舎建築工事 秋田市都心部の官庁街・山王1丁目地区で、同市の新たな行政拠点となる新庁舎の建設工事が、2016年3月の完成に向けて進められている。構想着手から20年以上を経た、地域待望のビッグプロジェクトの施工を担うのは清水建設・千代田興業・シブヤ建設工業・田村建設JV(稲川松基所長)。事業を主導する市新庁舎建設室(嶋矢治和室長)と緊密に連携し、『秋田らしい』新庁舎の具現化に心血を注いでいる。  施設規模は、RC造地下1階地上6階建て塔屋1層延べ3万09… Read More
  • 【技術裏表】南極の自然と「けんかしない」12角形の観測棟 ミサワホーム47年の挑戦 南極昭和基地に建設される基本観測棟の部材生産を担当するミサワホームでは、部材製作の最終段階を迎えている。「けんかをせず、いかに自然と共存できるか」。商品開発本部技術部耐久技術課長の秋元茂氏は、51次越冬隊員の経験を踏まえ、施設づくりの考え方をそう力説する。南極での建物受注が36棟目を数える同社が導き出した基本観測棟のフォルムは12角形であった。  まさに同社は南極昭和基地とともに歩んできた。第10居住棟を受注した1968年(10次越冬隊)… Read More

0 コメント :

コメントを投稿