2015/06/26

【現場最前線】100年使用できる“秋田らしい”庁舎に! 省力施工で進む秋田市新庁舎建築工事

秋田市都心部の官庁街・山王1丁目地区で、同市の新たな行政拠点となる新庁舎の建設工事が、2016年3月の完成に向けて進められている。構想着手から20年以上を経た、地域待望のビッグプロジェクトの施工を担うのは清水建設・千代田興業・シブヤ建設工業・田村建設JV(稲川松基所長)。事業を主導する市新庁舎建設室(嶋矢治和室長)と緊密に連携し、『秋田らしい』新庁舎の具現化に心血を注いでいる。

 施設規模は、RC造地下1階地上6階建て塔屋1層延べ3万0980㎡。日本設計・渡辺佐文建築設計事務所・コスモス設計JVによる設計では、建物の内外装に秋田スギを使用し、周辺の景観に映え、調和させることで“秋田らしさ”の創出を企図。
 また、市民の利便性向上のため複数の用件に1カ所で対応できる総合窓口を1-2階に集約するほか、自然採光や太陽光などの自然・再生エネルギーを有効活用し、環境との共生を図る。
 さらに、大地震に備えて免震構造を採用。非常用発電・太陽光発電設備も備え、災害発生時にも業務を継続できる防災拠点施設とするほか、耐震補強を行って有効活用する既存の分館とともに100年スパンでの使用に向けて維持管理を行う計画だ。
 市民の大きな期待を背負った工事は14年1月に本格着工した。準備工事を経て3月初旬から場所打ちコンクリート杭工事に着手し、2カ月半をかけて131本の杭を打ち込んだ。
 その後、山留工事を経て基礎の掘削に入り9月に終了。年末にかけて基礎と躯体を一体化するための鉄筋工事とコンクリート打設を行い、15年年明けから免震装置を設置。春から躯体工事に入り、現在は2階部分まで建ち上がっている。5月末現在の進捗率は約30%となっている。
 稲川所長が、これまでの作業のポイントに上げるのが地下工事。寒冷地のためコンクリートの養生が必要なのはもちろん、「雪が降ればコンクリートの打ち込みはできず、雨風によりクレーンを動かせないときもあった」。北国の過酷な気象条件に加えて、昨年末には労務不足も重なり、厳しい工程管理を強いられた。
 こうした中、稲川所長は工法の一部変更を決断。「工場生産を増やし、現場ではなるべく取り付けるだけ、組み立てるだけにして対応した」。現場の中心に大型のタワークレーン、南・東にそれぞれクローラークレーンを設置。トラス筋を接合した1枚物の大型デッキを現場で組み立て、クレーンでつり上げる省力施工を導入するなど、作業効率を大幅に向上させた。工場生産品の増加は、効率化とともに品質のバラつき防止にも大きな成果を上げている。

トラス筋を結合した大型デッキ
事業の陣頭指揮を執る嶋矢室長も「JVの仕事にはスピード感があり、現場内の整理整頓も行き届いている」と日ごろの取り組みを評価しつつ「復興需要などで職人や資材の手配に難儀している中、かなり先読みしながら工事を進めているおかげで順調に推移しており、本当に感謝している」と全幅の信頼を寄せる。
 今後、躯体や外装仕上げ工事が最盛期を迎える中、稲川所長が「意匠面での目玉」と位置付けるコンクリートの打ち放しと、秋田スギを使った軒天井の施工も本格化していく。
 「しっかりした品質のものを作ることが一番の目標だが、納期、コストなど、あらゆる面で市の期待に応えられるよう頑張りたい」。3度目の冬を越えた先にある、来年3月の完成を見据える。
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