2013/12/14

【BIM】データ連携と日本仕様を強化 Vectorworks最新版

「CAD内部だけで3次元モデルをつくるリトルBIMから、IFCを中心とした相互運用性を実現するビッグBIMまで、対応するアプリケーションに成長した」。エーアンドエー(東京都千代田区)の佐藤和孝BIM・ソリューション企画推進課長は、2次元・3次元CAD「Vectorworks(ベクターワークス)」をそう表現する。


BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)のポイントは、関係者間で情報を共有し、手戻りをなくすこと。それには、異なるソフトウエアや他者とのデータ連携が欠かせない。その標準フォーマットがIFCだ。2014年1月14日に国内でリリースする「Vectorworks2014」は、IFC(2×3、CV2.0)データの書き出しと取り込みの認証を取得している。取り込み認証は、建築意匠BIMツールでは世界で2番目。
 IFC連携では、他CADや他者により作成されたデータの構造や分類が分かりにくいという課題がどのCADにもあった。しかし、「2014」では、取り込んだIFCデータから、オブジェクトを種類ごとに検索し、再分類できる。また、今後FM用ソフトなどでIFCデータを活用する場合、「パブリック」「セキュリティ」などのゾーンによる部屋分類が有効。「2014」ではこのゾーンの書き出し機能も強化している。
 IFC以外にも、「2014」では、他CADのユーザーに普及しているDXF、DWG、DWF形式のデータを、Vectorworks上に重ねて表示できる。たとえば、設備設計パートナーから、他社CADで作成された2次元の配管図面を受け取り、3次元モデルの上に重ねられる。そのパートナーが図面を3次元化した場合、重ねておいた図も3次元に更新できる。
 ほかにも、従来版から「Rhinoceros」「SketchUp」など、さまざまな3次元ソフトウエアとのデータ交換が可能。「デザインワークのハブ(中心)として活用できる」と佐藤課長。
 一方、モデリング能力も強化している。立体にひねりを加える(ツイスト)、角度を付ける(テーパ)などの作業をより直感的に少ないステップで実行可能にしている。
 こうした開発側の工夫に加え、国内販売元であるエーアンドエーは、日本向けに在来構法の屋根を作成しやすくしたり、日影計算などのプラグインソフトを更新。また、ことし14都市で300人を集めたイベント「BIMキャンプ」を14年に木造編で実施予定。ブログ上のBIM活用講座も連載中だ。内田和子社長は「今後ともBIMへの対応や日本仕様に注力する」と強調している。
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