2013/12/03

【朱鷺メッセ】原因は「設計上の問題」 新潟県が3者と和解の方針

落下したデッキ(Photo: Mnd)
2003年8月に起きた朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故をめぐり、新潟県がデッキ建設事業に関係した新潟県建築設計協同組合、槇総合計画事務所、第一建設工業の3者に対し約9億円の損害賠償を請求していた訴訟の控訴審について、泉田裕彦知事は3者と和解する方針を明らかにした。県と3者は和解協議を進めていたが、27日に東京高等裁判所が正式に和解勧告した。和解案によると事故は「設計上の問題によって発生した」として、県設計協組は7500万円の和解金、槇事務所と第一建設工業は解決金として合わせて500万円を支払うというもの。県は12月定例議会に和解に関する議案を上程し、承認後に本格的な和解協議に移る方針だ。

 同事故を巡っては、04年9月に県が新潟地裁に損害賠償請求訴訟を提起。落下原因は設計と施工にあるとして同3者のほか、県とは直接契約関係のなかった下請けなどの立場にあった黒沢建設、福地建築設計事務所、構造設計集団も含めた6者を相手取り、その不法行為責任を問うとともに全損害に対し6者が連帯して責任を負うべきと主張していた。しかし12年3月には新潟地裁が「事故原因が完全に特定できない」として、県の主張を認めずに請求を棄却。県はこれを不服として東京高裁に同年4月控訴していた。ただ、控訴審で県は「設計・施工の技術的側面で争うよりも、そもそもの契約責任としての債務不履行責任など法的責任を問う」などとして県設計協組など3者だけを相手方としていた。
 和解勧告では県と県設計協組に対し「事故が設計上の問題によって発生した」ことを相互に確認するよう求めている。一方、同じく槇事務所とは「同事務所に何らの責任がないこと」、第一建設工業とは「施工上の問題ではなく設計上の問題によって発生した」ことをそれぞれ相互に確認するとしている。
 県が今回、こうした勧告を踏まえ3者と協議に入る方針を示したことは事実上、「事故が設計上の問題によって発生した」との判断を受け入れる格好となる。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
http://www.kensetsunews.com/?page_id=3482

Related Posts:

  • 誰よりも早く最前線へ!! 九州北部豪雨・現場ルポ 14日午前、国道57号を熊本県阿蘇市に向けて車を運転中、同市内全域に避難指示を告げるエリアメールが携帯電話に入った。消防車の放水を直接当てられたような豪雨に恐怖を感じながら、徐行運転を続け、熊本県建設業協会阿蘇支部を目指した。窓の外を見ると、山から大量に流れ出る水によって道路は川と化し、泥土や木を流出させている。同日早朝、支部の災害対策本部は、復旧作業に当たっている会員各社の作業員に対して活動の中止を告げた。  写真は土砂が押し寄せた阿… Read More
  • 【台風被害ルポ】伊豆大島で砂防えん堤が災害を防いだ!  10月16日、伊豆大島(東京都大島町)で発生した台風26号による土砂災害は、多大な人的・物的被害をもたらした。しかし、4つの「砂防えん堤」が土石流を食い止め、より大きな被害を防いだ事実は、あまり知られていない。一方、東京建設業協会(近藤晴貞会長)は被災直後から、東京都の要請を受け、資材支援だけでなく、建設機械とオペレーターを派遣。人命救助とがれき処理作業がいまも続く。伊豆大島のいまをリポートする。 ◇東建が物資・建機・人材支援  … Read More
  • 【大泉洋さん登場!!】札幌三井JPビルに「赤れんがテラス」オープン!  三井不動産と日本郵便による札幌三井JPビル内の商業施設「赤れんがテラス」が8月28日オープンした。同ビルの地下1階から地上4階部分に27店舗が出店し、道内、アジアからの観光客集客に期待が寄せられている。  北3条広場側にはオープンカフェなどを配置し、札幌駅前地下歩行空間からのアクセスも可能となっている。当日は、関係者らがテープカットし、サプライズゲストとして俳優の大泉洋さんが登場しオープンに華を添えた。 建設通信新聞(見本紙をお送りし… Read More
  • 【現地ルポ】専門誌記者が見た福島第一原発の「凍土遮水壁」【記者コメ付き】 経済産業省と鹿島は、東京電力福島第一原子力発電所で実施している凍土遮水壁実証試験事業を公開した=写真。公開されたのは、4号機建屋西側に設置された小規模凍土遮水壁。遮水効果や耐久性など凍土方式による事業効果を確認するため設けられた10m×10mの実証施設だ。45本の凍結管が埋め込まれた実証区画内の土を削るとうっすら霜が降り、しっかりと凍っていた。  写真は報道陣に公開された凍土遮水壁実証実験(16日、福島第一原子力発電所・代表撮影)。 … Read More
  • 【樽口峠ブナの森】“マタギの里”小国町で歩こう! 本間利雄氏も体験ツアー参加 “マタギの里”として知られる山形県小国町の小玉川地区に、健康増進と地域活性化を目的とする健康ウオーキングルート『樽口峠ブナの森』が完成し、お披露目を兼ねたモニターツアーが現地で開かれた=写真。小玉川地区の地域住民らでつくる同地区自然教育圏整備促進協議会が、「健康をキーワードとする地域づくり」の一環として整備した。  ツアーには、地域住民のほか、小国町出身の建築家・本間利雄氏と本間利雄設計事務所のスタッフ、小国町の山口政幸副町長と町職員、東北… Read More

0 コメント :

コメントを投稿