2012/12/04

【復興版】仙台港ICが開通 料金所屋上に津波避難場所を設置

開通式典
東北地方整備局と東日本高速道路東北支社が共同で事業を進めていた仙台東部道路の仙台港インターチェンジ(IC)が、1日に開通した。東北地方唯一の特定重要港湾である仙台塩釜港に直結し、同港の物流機能を強化するとともに、震災からの復興をけん引する。
 仙台港ICは、仙台東ICから仙台港北IC方向へ約3.5㎞の地点に設置され、仙台塩釜港に直結する。同港からは東北地方で生産された完成自動車の約9割が出荷され、コンテナ貨物の取扱い量も年々増加している。こうした状況に伴い、仙台港北と仙台東の両IC付近で交通渋滞が多発していた。
 仙台港ICの開通により、増大する完成自動車の輸送を支援できるほか、交通分担が図られ、混雑個所の渋滞緩和にも寄与する。
 昨年の津波発生時に同道路名取IC料金所が避難場所として機能したことから、同料金所屋上にも避難スペースが設置された。総事業費は約70億円。

パレードには完成自動車8台を積んだ21mフルトレーラも参加した
この日の式典には関係者約180人が出席。あいさつに立った村井嘉浩宮城県知事は「仙台港ICは、宮城県はもとより日本の復興をけん引する。広域物流や防災拠点として仙台塩釜港の一層の機能強化が促進される」とし、奧山恵美子仙台市長も「震災により大変な打撃を受けた地元地域にとって、復興・再生に向けた力強いシンボルになる」と述べた。
 来賓として出席した高橋宏明東北経済連合会長は「物流、観光両面で大いに期待している。構造改革特区の認定を受けた45フィートコンテナの利便性が向上するほか、松島や平泉などの観光地との連携も容易になる」と語り、白根武史トヨタ自動車東日本社長も「仙台港ICの開通により、物流効率が間違いなく向上する。当社だけでなく、他の企業にとっても大きな後押しになる」と祝辞を寄せた。
 この後、関係者によるテープカットとくす玉開披に続いてパレードがあり、完成自動車8台を積んだ21mフルトレーラーや45フィートコンテナ車なども参加した。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2012年12月4日6面

Related Posts:

  • 【復興版】面的整備の初弾! 宮城・山元町の新山下駅周辺市街地整備が起工 津波により町の約3分の1が浸水した宮城県山元町で、面的整備の初弾となる新山下駅周辺地区市街地整備工事が7月31日、フジタ・大豊建設・橋本店の設計施工で本格着工した。CMR(コンストラクション・マネジャー)はオオバが担当。内陸側に約1㎞移設されるJR常磐線新山下駅の東側約35haを造成するとともに、約300戸の災害公営住宅を建設する。2015年3月の完成を目指す。 同町では、新山下駅周辺と新坂元駅周辺、宮城病院の3地区で新市街地整備を計画。 こ… Read More
  • 【復興版】なぜ福島・広野町のインフラは早期復旧できたのか 被災直後の広野町 原発事故の影響で復旧・復興が思うように進まない福島県沿岸地域にあって、下水道を始めとするインフラの復旧を驚くほどの早さで成し遂げた自治体がある。広野町(山田基星町長)だ。放射能汚染など2次被害の拡大が懸念される非常事態の中、いかにして実現したのか。発災時に建設課長として復旧の陣頭指揮を執り、退職後の現在も建設課復興建設グループの参事兼専門官として復興に取り組んでいる賀澤正氏の行動を軸に、同町における発災後の対応を振り返る。… Read More
  • 【復興版】復旧で生まれた「エアハート工法」 震災で被害を受けた下水道管路の復旧に当たり、水替工を効率的・効果的に実施できる技術として開発されたのが「エアハート工法」(空気圧作動汚水ポンプ工法)だ。 同工法は、▽動力源が完全自給式のため、呼び水が不要(電源不要)▽既設管に特殊プラグを装着し管本体をポンプピットとするため、臭気発生や作業員の衛生環境悪化を防止▽人孔部のみならず管本体から直接水替えが可能なため、1スパンではなく工事個所のみの水替えが可能▽作業はプラグとホース類の設置・撤去のみ… Read More
  • 【久米設計×早大】仙台駅西口エリア再生ワークショップ 仙台駅西口エリアの再開発・再生をテーマにした久米設計と早稲田大学のプロフェッショナルズ・ワークショップが7日、スタートした。面接と書類選考で選ばれた20人が、「まちをプロデュースする」を目標に再生プランを提案する。22、23の両日には現地フィールドワークも実施、9月に仙台市内とともに久米設計で最終発表が行われる。成果は、久米設計が携わる仙台駅西口エリアの開発プロジェクト(中央南地区)の実務に反映させることになっている。  学生は、創造理… Read More
  • 【復興版】会計検査院、入札不調で報告書 復興工事の77%が応札者なし クリックで拡大 会計検査院がまとめた報告書「東日本大震災からの復旧・復興事業における入札不調について」によると、被災3県で2011年10月から12年9月までに入札された復旧・復興事業等にかかる工事の入札不調の発生割合は、直轄事業と補助事業を合わせて件数で21.1%、金額で11.2%となった。3県の中では災害査定決定額が最も大きい宮城県での発生割合が高い。不調工事の入札状況では応札者がいないものが77.1%と大半を占め、特に予定価格を事前公表… Read More

0 コメント :

コメントを投稿