2012/12/21

【吹付ロボ】ノズルが倍に 鹿島が山岳トンネル向けに開発

ロボは、メカニカルな雰囲気だ
鹿島は、山岳トンネルの施工サイクルタイム短縮を目指し、コンクリートの吹き付け時間を半減できる「2ノズル吹付け機(ツインショット工法)」を開発した。現在、特許出願中で、2009年に実現場で初適用後、現在まで5現場に6台を導入。その間、さまざまな施工条件に対応できるよう改良を施し、新幹線断面でも稼働できるようコンパクト化するとともに、タイヤ式に加え、地盤の悪いトンネルに適用可能なクローラ式も整えた。
 施工サイクルタイム短縮は、工期短縮、コスト縮減に直結し、トンネルの長距離化、大断面化が進む近年、サイクルタイムの短縮が大きな課題となっている。特にNATMで施工する場合、全体サイクルの中で吹き付けコンクリートの施工時間が占める割合は2割程度と比較的大きい。
 このため、同社は09年、吹き付け作業時間の短縮を目的に、エレクタ付き2ノズル吹付け機を開発。具体的には、2ノズル2ポンプ方式により、1時間当たり20m3の吹き付け能力を実現し、その作業時間は従来機と比べて約50%の時間短縮を実現した。
 吹き付け量が2倍になるため、粉じんの増加への対応が課題となったが、電気化学工業の「デンカクリアショットシステム」の採用で解決。この吹き付けシステムは、酸性液体急結剤と粉体助剤を吹き付けノズル直前で混合しコンクリートに添加することで、液体急結剤と同等の低粉じん・低はね返り性と高い急結性を実現する。
 2ノズル吹付け機は、サイクルタイムの短縮だけでなく、支保効果の早期発現にも大きく寄与しており、山岳トンネル工事の安全性向上につながっている。同社は、積極的に全国の山岳トンネルに適用していくとともに、他の工程でも急速施工の実現を目指し、更なる施工サイクルタイムの短縮を推し進めていく。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2012年12月21日3面

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