2014/07/05

【大学】秋田大が「国際資源学部」新設 国際的技術者の育成目指す

ことし4月に、秋田大学に「国際資源学部」が新設された。6月20日に開かれた骨材資源工学会総会後の講演会で、同学部の今井忠男教授が学部新設の経緯を語った。同大前身の秋田鉱山専門学校が設立したのは1910年。なぜ、今のタイミングで学部を創設することになったのか。背景には資源価格の上昇が深く関係しているようだ。

 石炭価格も鉄鉱石価格も2003年のイラク戦争を境に高騰し、現在は高止まりの状態にある。これは石油価格も同じ。こう話し始めた今井教授は「資源価格の安定は世界秩序と関係している。秩序が変わると、資源が必要になり、価格も高騰する」と、その関連性を語る。
 世界の鉱山分布を見ると、アフリカ、南米、オーストラリアに多い。例えばドイツでは電力の23%を自然エネルギーで賄い、ロシアから天然ガスの安定供給も受けている。石炭生産量は世界で8番目に位置し、自ら消費する部分は確保できている状況だ。「資源を西側世界から買う」日本では、国際的な立ち位置から資源問題に精通した人材が必要視されている。
 学部発足のきっかけとなったのはアフリカ南部に位置する「ボツワナの日本大使館からの相談だった」と明かす。ボツワナに大学をつくりたいという内容で、それが契機となり、大学内に国際資源教育研究センターが認可され、学部への道筋がついた。

カリキュラムの流れ
大学は、工学資源学部(旧鉱山学部)と教育文化学部を改組し、「理工」「国際資源」「教育文化」の3学部に改変した。国際資源学部は資源政策、資源地球科学、資源開発環境の3コースで構成し、初年度は5人の留学生を含む120人でスタートを切った。今井教授は「アフリカ、モンゴル、インドネシアなど資源国との研究協力を進めながら、留学生も積極的に受け入れる。学生は海外駐在員として国際的に働ける人材を育てる」と先を見据える。
 4年間は1、2年次に集中英語を行い、その後に1カ月に及ぶインターンシップも計画している。「120人の卒業生を企業が求める人材としてどう育てるか。国際的に通用する技術者を育成したい」と力強く語る。資源政策コースは資源国や資源開発に通じた商社マン、資源地球科学コースは資源探査技術者、資源開発環境コースでは環境対策に精通した開発技術者を育成する計画だ。「特に現在は環境の対策なしに地域の理解は得られない。環境は資源づくりに欠かせない要素。学部を通して資源教育の理解も求めてきたい」と強調する。
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