2014/07/11

【記者座談会】中央省庁幹部人事発表 厳しい情報管理、かん口令は末端まで

A 内閣人事局発足後初となる中央省庁の幹部人事が4日の閣議で決まった。
B 今回の人事では法務省と経済産業省で初の女性局長が誕生したほか、外務省、厚生労働省でも女性局長が任命された。政府が6月24日に閣議決定した国家公務員人事基本方針で女性職員の採用や登用を増やすとともに、省庁間の人事交流を進めることを打ち出していた。新成長戦略でも「女性の活躍推進」を明記しており、まず中央省庁から取り組んだといえる。(写真は8日に国土交通省内で開かれた職員に対する新旧事務次官のあいさつ)

C 厚労省は村木厚子次官が続投したことから、局長級以上の女性幹部が3人になった。交流人事では国土交通省の政策統括官に財務省出身者、審議官(営繕)に厚労省出身者が就いた。政策で対立する場面がある財務省と経産省の間でも初めて審議官級の交流人事があった。
A 幹部人事を一元管理する内閣人事局設置の影響が大きかったということか。
B 内閣人事局の設置は、幹部人事を官邸主導で行うのが狙いだ。これまでは、官房長官らの人事検討会議で局長以上の約200人の人事を決めていたが、今回から審議官級以上の約600人が対象となった。職務遂行能力の適格性を審査した上で、官房長官が幹部候補者名簿を作成、任命権者の閣僚が首相や官房長官と「任免協議」して人事を決める仕組みになっている。
C 官邸主導が強まったことで、情報管理がこれまで以上に厳しくなった。ある省では、異動の該当者に異動先を示さない内示があった。省内でも情報が入り乱れ、普段とは異なる空気が流れていた。省によっては内示日と発令日の情報が複数あって、本当の内示日の確定が直前まで難しかった。
D 情報のオープンが大臣や次官の辞令交付後という省もあったよ。国交省を含む複数の省では、内示日の時点でも情報の漏れを防ぐかん口令が敷かれていて、閣議後の大臣会見で幹部人事について発言したあとにようやく情報解禁になった。ある省の幹部からは、官房長官が情報漏れした場合に厳しい対応をとると言われていたと聞いた。別の省では大臣が幹部職員に対してかん口令を指示していた。
E 異動対象者に聞くと、やはりかなり厳しいかん口令が敷かれていたようだ。昨年も厳しかったが、ことしはさらに厳しかった。「人事では嘘を付いてもよい」と言われるけど、発令前に取材した対象で、実際と違うことを言った人も一人ではなかった。
B でも、国交省内には今回のかん口令が政府の方針ということではなく、「趣味の範囲だ」と言う人もいた。国交省幹部が独自に特に厳しいかん口令を敷いたという見方をする人も少なくない。
A 出先機関の人事情報管理はどうだったの。
F 内閣人事局対象者の流れとなる人事は、閣議了承までは情報は流れないし、仮に情報があっても漏らすことはないと言っていた。職員でも情報の取得が困難になっており、慎重になったと実感しているようだ。
G 確かに出先機関内部での人事情報の取り扱いはこれまで以上に厳しく管理されていた。職員にも漏れないようかなり気を遣っていた。
H ただ、内閣人事局設置の影響というよりも、ここ数年は出先機関での情報の入手が困難で、情報管理されていると感じているようだった。今回は根拠のある情報がなく、幹部人事はもっと先のことだといった噂すら流れていた。それだけに、フタを開けてみて驚いていた人も多かった。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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