2014/07/26

【CIM】外環千葉区間でも3次元を活用 清水建設の高谷IC改良工事

土木構造物のライフサイクル全般で効率化に貢献するCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)。今後の本格的な普及が見込まれているが、公共事業の効率化という観点からも導入効果に対する期待は大きい。国土交通省関東地方整備局が発注し、清水建設が施工する東京外環道「高谷IC改良その6工事」(千葉県市川市)もCIMを導入している現場の1つ。どのような導入メリットがあり、今後の普及に向けた課題はどこにあるのか、現場を取材した。

 この工区では、外環道の専用部とAランプ、Bランプを建設する。ボックス擁壁とU型擁壁で構成し、建設地を横切る水道管などの移設も含まれる。軟弱な土地で地下水位も高いことから、地下の水と空気を吸引するSKK工法で水位を下げて施工を進めた。

躯体、仮設、地層の3次元モデルを作成
現場では、躯体、仮設、地層のそれぞれについて3次元モデルを作成している。CIMの導入メリットについて清水建設の岡野高之現場代理人は「現場説明会などでは、2次元の図面と文書で説明するよりも分かりやすく、理解してもらいやすい。施工イメージの共有が進むことに加え、工程管理の効率化にもつながる」と話す。施工上の干渉チェックなどポイントを絞った活用にも効果的で、危険作業・個所の事前確認にも活用している。

可視化の効果は大きい
3次元画面上には基本属性や品質属性、施工属性といったさまざまな情報をリンクさせ、画面上で施工部位をクリックすると詳細な情報が表示される。清水建設のコンクリート管理システム「s-Worker」とも連携できるほか、汎用的な表計算ソフトへの出力も可能だ。
 ただ、属性情報の付加作業は現場サイドにとって負担になるのも事実。すべての詳細な情報を盛り込むのは現実的でない。岡野現場代理人は「維持管理段階で必要とされる情報を精査した上で、それらをいかに効率的に落とし込んでいくかが今後の課題になるだろう」と指摘する。さらに属性情報入力の手間を考えれば「3次元モデルを竣工資料として認めてもらえれば、施工者にも利点となる」という本音も漏れる。
 CIMの本格普及に向けては、受発注者双方でCIMの活用・運用方法などに関する課題や問題点を共有し、改善していくというプロセスが重要になりそうだ。

壁新聞

魅力的な記事!
建設地には国道が隣接し、民家も近い。このため隣接工区との連絡調整や騒音対策など、気を遣う場面も多い。地域とのコミュニケーションを深めるため、この現場では定期的に壁新聞を発行し、進捗状況や工法などの説明、現場で働くメンバーの紹介などを行っている。読み手を引きつけるユニークな記事も盛り込んでいる。

岡野高之現場代理人(清水建設)
岡野現場代理人は「工事はこれから佳境に入るため、事故を起こさぬよう配慮しながら工期内の竣工を目指す」と意気込む。「完成後は車に家族を乗せてこの道路を走りたい」という思い入れもある現場だ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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