地震時、体育館や空港などの天井材落下が問題になっている。この問題をクリップだけで解決する工法が登場した。西松建設、戸田建設、八潮建材工業が、共同開発した天井脱落防止技術「耐震クリップ工法」だ。
同社らは今回、実際に振動台で天井材を揺らして、その限界耐力を確認した。実験の結果、脱落時の加速度は水平方向が3600ガル以上、鉛直方向が5400ガル以下となり、水平・鉛直方向の加速度が2000ガルまでは天井面を安全に保持できる結果となった。この工法はすでに東日本大震災以降、数十件の工事に採用されており、限界耐力の立証により工法の優位性をさらに発揮できるとしている。
天井脱落は、野縁と野縁をつなぐクリップの損傷に起因する。地震時に屋根が縮んだり、膨れたりする現象によって天井の揺れが増幅し、クリップが連鎖的に外れる。耐震クリップは既存クリップの上から補強する技術。ワンタッチで設置できる点が特徴だ。
一般的に天井の耐震性は水平方向1000ガル、鉛直方向500ガルで設計されており、これまでの実験では従来の天井工法に比べ、約2倍の地震入力でも損傷しないことを確認済みだったが、その限界値は検証していなかった。
振動台実験では、水平方向3600ガル、鉛直方向1500ガルの加速度でクリップが外れなかったものの、水平方向3600ガル、鉛直方向5400ガルでは耐震クリップが野縁受けから外れ、天井ボードの一部が脱落した。3社は「大きな鉛直方向の振動が影響する」とし、「水平・鉛直方向の加速度が2000ガルまでは十分に天井面を保持する」と判断した。
今後はあらゆる条件下でも対応するために工法の適用範囲を拡大し、段差天井や斜天井などでも実証実験を進める方針だ。
→戸田建設のサイト
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