2011/12/12

大林組、ICTで現場の「朝礼」廃止!?/移動減らし労務歩掛り向上

実際の朝礼システム
 大林組が、毎日の朝礼を効率化するシステムを都内の建築現場に初適用した。従来はゼネコン職員などが口頭で説明していた内容を大型液晶画面とスピーカーで放送する。10分ごとに同じ内容を流し、全員がそろう必要がない。朝礼を終えた作業員は順次、持ち場に移動できるため、エレベーター待ちなどの時間が減り、労務歩掛りが向上する。職員や作業員の評判も良いことから、都内の大型建築現場を主体に導入を拡大する。
 アクトエンジニアリング(本社・東京都港区、石井春海社長)の現場支援サービス「朝礼システム」を適用した。導入したのはパレスホテルが建築主の「パレスホテル建替計画」(東京都千代田区)のホテル棟の現場。前日に打ち合わせした内容を、パソコンで入力し、翌日の朝礼で放送する。入力した内容は画面に表示するとともに、自動で女性の声で読み上げる。
 朝礼は朝7時からの1時間で、ホテル棟2階にある大宴会場になる予定のスペースで行う。10分ごとに同じ内容を4台の大型液晶画面で繰り返し流し、ホテル棟担当の作業員約1000人は現場の到着順に視聴する。当日の立ち入り禁止区域や人員輸送、注意・伝達事項などの内容を確認、終えた人から持ち場に移動する。
 ことし6月にシステムを導入した。一斉に集まらず、時間を分散することで作業員の移動を効率化する。このほか、1000人が一堂に集まる場所を確保することが難しかったことも初適用の理由。
 導入の数知的な効果は集計中だが、社員や作業員を対象に実施したアンケートでは「内容に集中できる」など評価する声が多かったという。ほぼ同じ人数の作業員が働くオフィス棟の現場は、従来と同じ朝礼を行っており、導入効果を比較検討する。
 エレベーター待ちを解消できる効果が大きいことから、同社は都内の20階建て以上の超高層ビルを主体に導入を拡大していく。

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