木造建築には可能性がある--。建築家の内藤廣氏は、環境にもやさしい木造の可能性を広げていくために「行政が模範を示す必要がある」と、公共建築への積極的な活用を訴えている。
「20世紀の建築は、木造を排除し続けてきた」。それは木造が持つ「弱さを扱いきれなかった」ためだ。鉄骨や鉄筋コンクリートの建築は「部分破壊が即、全体の破壊につながる」が、木造は「おそらく部分破壊しても、すぐには全体が破壊しない」。弱くて強い、矛盾に満ちた木造の複雑さを内藤氏は「多矛盾系」と呼ぶ。だが矛盾をはらんでいるからこそ、最先端の技術でも十分に解明できていない新たな可能性があると強調する。
一方で木造建築の普及は、「建築行政だけでは解決できない」とも。防火・耐火基準を始めとする規制を根本から見直し「建築家の側も、木造とは何かを問い直す必要がある。木造の本質を理解し、育てていく必要がある」と指摘している。
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