日本建築家協会(JIA)東北支部(鈴木弘二支部長)は20日、仙台市青葉区のせんだいメディアテークで第20回を記念するJIA東北建築学生賞の公開審査および表彰式を開いた。最優秀賞には、岩渕風太さん(東北大3年)の『こもれびあじと』=写真=が選ばれた。
同賞は、学校の枠を超えた建築系学生間の交流、建築教育の情報交換の場を提供し、建築文化の向上に寄与することを目的に1997年に創設した。今回は、東北各地の大学や高専、専門学校など13校15学科から計36作品の応募があった。
審査は、同賞を企画したJIA宮城の針生承一氏(針生承一建築研究所主宰)を員長に、東北各県の地域会メンバーや賛助会らの代表者10人のほか、特別審査員として、第1回で最優秀賞を受賞した建築家の藤野高志氏(生物建築舎代表)が担当した。
公開審査では、制作者によるプレゼンテーションを踏まえ、▽コンセプトの導き方▽社会性・歴史性▽空間性▽表現力--の4項目を中心に評価し、各審査員の投票で入選作品を選定した。
最優秀賞の『こもれびあじと』は、仙台市青葉区の西公園内にひっそりとたたずむ“ひみつきち”をイメージし、地下1階地上1階建てで7.5mキューブ内の空間に貫入と貫通、内包などの位相構成と、反射と屈折、拡散などの光の現象を組み合わせた、子どもたちが楽しめる光の小規模ギャラリーを提案した。
内部は、木の枝と根をモチーフにした大小さまざまな三角形の壁が連なる構造体で構成。ファサードには強化ガラスにクラッシュガラスを使用することで、木漏れ日のようなやわらかな光を演出する。
受賞者と各審査員ら |
表彰式では、最優秀賞を受賞した岩渕さんに鈴木支部長と針生員長から、第20回を記念して制作した第1-7回で贈呈していた当時の復刻版の盾などを手渡し、栄誉をたたえた。
この後、針生員長が「良い作品は、どうしようもないほど自分を追い詰めていかないと出てこない。皆さんには、法律や構造、材料などいろいろな知識を学んでほしい」と総括。その上で、「提案型でピュアな建築家であり続けてほしい」と語った。
鈴木支部長は「建築家には、多様性が求められる時代になってきている。頭をやわらかくして、時代に追従できる建築家になってほしい」と建築家を志す学生たちにエールを送った。
最優秀賞を除く入賞作品は、次の通り(敬称略)。
〈優秀賞〉
▽森のとしょかん=伊藤春樹(東北芸術工科大)
▽ヤナギウの繭=小野寺謙(仙台高専)。
〈みやぎ建設総合センター賞〉
▽連続と交錯-記憶と理想の架け橋-=伊藤和輝(日大)。
〈東北専門新聞連盟賞〉
▽Green hills=石田愛実(宮城学院女子大)、伊藤麻希(同)、佐藤彩香(同)
▽宿工房-ある人の帰還-=渡部昌治(日大)。
〈河北新報社賞〉
▽Street Library通りの図書館~ナレッジコミュニティで集う~=五十嵐愛美(宮城学院女子大)。
〈特別賞〉
▽帯の学校=山木兼(東北学院大)
▽DESIGN BOX PULSE=小島みのり(宮城大)
▽本荘文庫=土井美春(秋田大)。
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