2011/12/15

「いつものシステム」が、災害時に威力発揮/長大がスマホ使った画像データ共有システム

 長大は、道路や河川などの維持管理業者が現地で撮影した画像データを、リアルタイムで情報共有する「ESIS(イーシス)」システムを開発した=写真。東日本大震災など広範囲な災害時に、現場の状況が迅速に把握できるため、国や地方自治体も関心を示している。
 システムはシンプルで、維持管理業者が携帯電話で現地の状況を撮影した画像データをサーバーに送信すれば、発注者も即座に画像を確認できる。画像データにはGPS(全地球測位システム)で測位した位置情報も付いており、場所を地図上で確認できる。
 業者にとっては、省力化、コスト削減のメリットだけでなく、写真の間違いといったミスもなくなる。同社は2010年度、道路の維持管理業務向けに現場でのニーズを把握するため、北海道で先行サービスを実施、好評を得た。
 東日本大震災を踏まえ、災害時にも活用しやすいように開発に取り組み、データの通信容量が大きいスマートフォンやタブレット端末も活用できるようにした。この結果、巡回車両にこうした情報機器を載せておけば、リアルタイムで地図上の道路に巡回実績を表示、災害時にはどのルートの通行が可能かが分かる。
 システムのメリットは、日常の維持管理業務に使っている技術を、災害時にそのまま利用できることだ。マニュアルや必要な機器を探したりする必要がなく、即座に対応できる。発注者の要望があれば、ホームページや地上デジタル放送に、通行可能道路の地図データといった被災状況も提供できる。

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