3次元曲面を多用したデザイン |
この建築物は、宗教法人・光明寺による寺院「新宿瑠璃光院白蓮華堂」で、意匠設計を設計組織アモルフ、構造設計はTIS&PARTNERSが担当。豊田自動織機が総合元請けとなっている。規模はRC造地下1階地上6階建延べ2294㎡。立体曲面を多用した外観で、一目で施工難易度の高さがうかがえる。
立体木目型枠 |
コンクリート表面の杉木目 |
このため作業所サイドは、竹中工務店の技術本部や技術研究所と連携しながらホワイトコンクリートと徹底的に向き合った。砂と骨材の比重調整や混和剤のアレンジなど手を尽くしたおかげで、「打設しやすくクラックのない品質を実現できた」(藤井所長)。打設にあたって、あらかじめモックアップを作製して実施工の見当を付けた点も功を奏している。
くびれた1階から2階部分にかけては緩やかな傾斜で外壁が広がっていくが、この斜面部分には軽さと強さを追求して中空状のボイドスラブを採用している。マンションなどに使われるケースも多いボイドスラブだが、傾斜したスラブは珍しい。このほか見慣れない曲線を描く鉄筋も多く、一般的な建築物の施工とは一線を画す。藤井所長は「鉄筋、型枠、打設が三位一体となって完成させた」と自信をのぞかせる。
建物内部に入ると、採光に大きな特徴があることが分かる。ランダムに配置されたかのように見える採光窓も実は緻密に計算されている。特定の日時になると仏像に日が差し掛かる演出を組み込んだり、地下の部屋でも採光のおかげで地下にいることを感じさせない。一方、内装は木目コンクリート打放しに加え、湿式仕上げも採用している。中には、コテを使って光沢を出す「大津磨き」と呼ばれる伝統的な左官技法を採用した部屋もある。
建築主、設計者、施工者それぞれの思いが込められた建築物は4月末、引き渡しを迎える予定だ。
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