共訳者の名前を見て、「おや」と思う人も多いだろう。元国土交通大臣官房官庁営繕部長で、現在、公共建築協会の副会長兼専務理事を務める藤田伊織氏である。原著はドイツ語で、およそ半年をかけて翻訳した。
きっかけとなったのは、氏が2010年に「続バッハへの旅」に参加したことに端を発する。独・ライプツィヒにある「聖トーマス教会」での演奏を楽しみ、その後、“たまたま"インターネットで、この教会の「バッハ・ショップ」を訪れ、そこでこの本と出会った。
主人公はドイツ人女性バイオリニストであるマグダレーナ・ラファイエット。米国のメディア権力者であるナポレオン・ニューマンから、私設オーケストラへの誘いを受け、その初リハーサルで演奏することになった曲が、失われたはずのバッハ作曲の協奏曲だった。物語の舞台はライプツィヒ、ロンドン、ロサンゼルスと場所を移しながら、時代を超えて発見されたバッハ新曲の争奪戦が繰り広げられていく。
音楽好きにはたまらないミステリー。四六版250ページ。
電話03-3321-4131。ホームページからの注文も可。
(大成出版社・1800円)
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
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