LIXILが提案し続けてきた「ケニア共和国の非都市部における水資源保全と衛生環境改善のための“循環型無水トイレシステム"普及促進事業」が、国際協力機構(JICA)が公募した「第1回開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業」に採択された。今後は、JICAの支援を得ながら事業を進めていく。
この事業は、下水道インフラが未整備なケニアの非都市部に、水を使わずに排泄物を処理し肥料化する「循環型無水トイレシステム(グリーントイレシステム)」を新たなインフラとして普及させ、水資源保全と衛生環境の改善を目指す。
同社は2008年から、し尿を安全に処理し、肥料などに再資源化する「エコ・サニテーション」の研究・開発に取り組んでいる。ケニアでは、衛生・環境問題と同等に貧困や食料不足による飢餓も早期に解決すべき課題ととらえ、安全な排泄・肥料化を提供するエコ・サニテーションに、生成した肥料を利用した農業や雇用創出などを加え、「排せつ」「肥料化」「植物を育てる」「食べる」という生きるために必要な一連のサイクルを支えるシステムをグリーントイレシステムと名付け、活動を進めていく。
現地での実証試験を通じて、ケニアの気候風土や現地の人々の暮らしに合わせてカスタマイズするとともに、実証試験の場を生きるための一連のサイクルのデモンストレーションや研修の場として活用。現地の人たちとともにより良いシステムを協創し、実際に見ること、触れることで、この循環システムの意義や運用方法の理解を深め、持続可能な普及につなげていく。
ケニアは、急激な人口増加と都市集中化から、インフラ整備が追い着かず、国を挙げて整備推進に取り組んでいる。特にナイロビなど都市部の水洗トイレの普及率は約50%まで進んでいるものの、非都市部では下水道の整備が大幅に遅れており、約2100万人は劣悪な環境で排せつし、そのうち約560万人が屋外排せつしている。その結果、周辺の河川、地下水などの水源が汚染され、腸チフスや下痢がまん延する原因となっており、5歳以下の乳幼児が毎年1万7000人以上死亡している。
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