聖徳太子が開いたとされる四天王寺(大阪市天王寺区)で11日、恒例の手斧(ちょんな)始め式が執り行われた。儀式を司るのは、世界最古の建築会社とされる金剛組(刀根健一社長)。同社の植松襄一相談役らが古式ゆかしく1年の工事の無事を祈った。
伝統の装束をまとった一行は同社から歩いて四天王寺金堂に入り、原木から柱を切り出す動きを模した儀礼と工事の無事を祈る祝詞を同寺の開祖である聖徳太子にささげた。「ちょんな」とは手斧(ちょうな)がなまったものとされ、神仏習合の趣きを残す珍しい儀式として2011年に大阪市の無形文化財にも指定されている。
式は同寺正大工職を代々世襲してきた金剛家が主催してきたが、昨年10月28日に39代当主の金剛利隆氏が死去。「一時は開催も危ぶまれた」(同社)が、植松相談役が四天王寺より正大工代務者に任命され、例年どおり実施された。式を終えて植松相談役は「金堂に入った瞬間に伝統の重みをずっしりと感じたが、いまはほっとしている。先人たちの遺産をこれからも一つひとつ伝えてつないでいきたい」と感想を述べた。
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