2011/09/02

県道10号線で津波被害を低減へ/仙台市が東部道路と同程度までかさ上げ

トラックが行き交う現在の県道10号
 仙台市は、東日本大震災による津波で甚大な被害を受けた東部地域の復興まちづくり方針をまとめた。東部地域は沿岸に最も近い幹線道路となる県道10号塩釜亘理線を6m程度かさ上げする。あわせて県道東側は災害危険区域に指定するなど建築制限の適用などを検討。県道西側では農業の再生を図る方針だ。
 津波減災の考え方では、市施工による県道のかさ上げを基本とした。並走する仙台東部道路と同程度となる高さ約6mの高盛土道路とする。さらに高台がない地域特性を考慮して、避難場所となる丘や建物も整備する方針だ。
 一方、県道の線形や高さ、構造の変更により、場所によっては、浸水区域や浸水深が大きくなる場所もあるため、河川堤防との組み合わせや水の逃がし方などの検討が必要としている。
 土地利用策については、県道以東は今回規模の津波の防御は困難なため、災害危険区域や建築制限の適用も視野に入れて利用方法を検討する。また、集客要素のある公共施設は整備せず、海岸公園の再生や新産業の誘致などを図る考えだ。
 県道以西の農地再生については、がれきの撤去とともにポンプ機、用排水路などを復旧させ、水田や畑作、観光・市民農園、水耕栽培など都市近郊形農業として農地の再生を図る。実施に当たっては大規模ほ場化に加えて、集落・集団・法人営農など経営形態も見直すことが必要としている。

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