2011/09/07

埼玉県産材使い、緩やかなアール屋根を創造/平安設計の『よしみけやき保育所』

 木材利用促進法の施行でスポットが当たっている木造建築。今回は首都圏で多くの木造建築を手掛けてきた平安設計(本社・東京都北区、伊藤伍朗代表)の保育所を紹介する。
 埼玉県吉見町の『よしみけやき保育所』は、平屋建て2,674㎡。柱、梁などの構造材には埼玉県産の優良木材として知られる「西川材」のスギ材を161m3、渡り廊下にもヒノキ材などを使用している。
 緩やかなアールを描く木構造の屋根に覆われた保育室は10mのスパンがとぶ伸びやかな空間を実現し、15×22mの大空間となっている多目的室も、大きな開口部を設けることによって園庭と連続した多様な使い方を可能にしている。
 設計を担当した埼玉支店(坂戸市)の責任者も務める山田洋副社長は「公共施設に木造を採用するのは、当事務所のこだわり」と語る。
 伊田テクノスが施工を担当、昨年9月に着工、8月に竣工した。敷地は、同町天神町地内の約8,500㎡。
 完成見学セミナーには予定を大きく上回る250人が来場し、会場を隣接する体育施設に変更するほど。公共建築物木材利用促進法の施行を追い風に、「県産材を活用しようとする動きが自治体に広がっている。木質構造技術に新しい可能性が出てきた」(山田副社長)とさらなる意欲を燃やす。

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