国際協力機構(JICA)は、経済成長が著しいブラジルで今後、導入・拡大が期待されるスマートグリッドとスマートコミュニティー分野について、日本企業の参入も視野に入れ、基礎情報の収集調査に乗り出す。ブラジリア、クリチバ、サンパウロ、マナウス、リオデジャネイロの主要5都市を対象に、政策ビジョンや具体的なプログラム、プロジェクトの動向などを収集・分析し、導入が見込める技術の選定やシステム構築の基礎的検討を行う。将来的には円借款案件の形成にもつなげていきたい考えだ。
調査業務の受託者はプロポーザル方式で選ぶ。業務指示書を27日まで調達部で交付し、10月12日まで提案書を受け付ける。10月中旬に選定結果を通知する予定だ。
サッカーのワールドカップやオリンピックといった国際的な大イベントを控える同国は、今後10年で電力需要量が約2倍になるとの予測もある。電力需給のひっ迫による停電も国内各地で頻発し、持続的な成長を支える電力確保が喫緊の課題となっている。
電源の約80%は水力に依存しているが、豊富な水量を有するアマゾン熱帯雨林地域における新規発電所の建設は、環境保全の観点から難しい。そこで、風力や太陽光など再生可能エネルギーの導入とエネルギー源の多様化が不可欠となっている。また、運輸分野でも高速鉄道による効率化や、ITS(高度道路交通システム)活用への関心が高まっている。
このような中、同国鉱山動力省は2010年に、スマートグリッド推進の検討ワーキンググループを設置。プログラム策定に向け、欧米や日本など各国の取り組みの情報を集め、検討を進めている。スマートコミュニティーについても州レベルで都市開発計画が進展しており、本格的に導入・拡大していく分野として期待されている。
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