大林組は、地表面に対する放射性物質のモニタリング事業を始める。米国のAMEC Environment and Infrastructure社が開発した放射線モニタリング技術「オリオン・スキャンプロット」を日本国内で適用するために、共同で検討する契約を結んだ。10月から福島県内で実証実験を開始する準備を進めている。民間企業や病院などで放射性物質を含む土壌の除染作業を行う前後などで活用する。
オリオン・スキャンプロットは、放射性物質の測定機器とGPSを組み合わせ、面的に汚染の状態を調べることができ、車両型、手押し車型、人が背負うリュック型の3種類がある。放射性物質の種類を特定できるため、自然放射線と原発由来の放射線を区別し、正確に汚染状態を調べることができる。また、山岳部はリュック型を使用するなど、敷地形態に合わせて機器のタイプを選ぶことが可能だ。リュック型は背中にGPS機器とパソコン、両足に測定機器を装着する。機器の重さは約10㎏。
測定機器は毎秒、放射線物質を計測し、GPSの位置情報と合わせて地図化する。縁石など測定し残した個所も地図上に表示するため、測定漏れも防げる。測定作業は基本的に有人で実施する。同技術は米国で原子力関連施設の環境修復などで豊富な調査実績がある。
大林組は、民間企業や病院などのほか、学校といった公共施設も視野に、放射性物質のモニタリング事業を展開していきたい考えだ。また、土地取引でも敷地内の放射性物質を調査するニーズが増える可能性もあり、今後の需要増に備える。
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