会見する野田首相 |
B その話は昨年12月に閣議決定されていて、2012年通常国会に法案を提出し、準備期間を経て14年度中に事務・権限の移譲が行われることを目指すと明記されている。それが今になってなぜ話題になっているかと言うと、関西広域連合、九州地方知事会を筆頭に、国の税源や権限移譲に対し首長が前向きなことと、これまで地域主権改革への言及がほとんどなかった野田首相が、来年通常国会への法案提出に言及したことが理由だ。
C でも法案提出へ中間整理をする目的で、10月に開いた政府のアクション・プラン推進委員会は冒頭、内閣府担当室による「広域的実施体制の基本的枠組みに係る検討課題」を提示した。席上、委員の上田清司埼玉県知事が「議論が戻っていることに不快感がある」としたほか、橋下徹大阪府知事(当時)が「(出先機関廃止が)いやならはっきり止めたと言えばいい」などと反発が相次ぎ、予定されていた議題も先送りせざるを得ないほど紛糾した。
B だから、議論を進めようとしない役所への不満が、10月下旬に野田首相が議長を務める「地域主権戦略会議」で噴出したんだ。首相はこの時、「この会議を機に、尻をたたいて進めたい」と前置きし、「来年の通常国会に法案を提出したい」と発言した。つまり出先機関の丸ごと移譲へ向けた動きの潮目が10月の主権戦略会議でがらりと変わったと思う。
D 確かに。会議では野田首相の発言を裏付けるように、政務官が、年内に広域連合への移譲へ向けた議論の集約を図って、来年春にはブロック単位での移譲についての全体像を固めたいと断言した。
A でも建設業界内には出先機関改革は、道州制移行とのセットで、だから時間がかかるとの見方も多い。
C 道州制をイメージするのは、昨年12月の閣議決定の文言にある「出先機関の事務・権限をブロック単位で移譲することを推進」が理由だと思う。内閣府担当室が、10月のアクション・プラン推進委員会に猛反発を承知で、広域連合の組織安定性・永続性や監査・透明性などのガバナンスのほか、出先機関の管轄区域と広域連合の区域が一致しない場合の対応など16項目にわたる検討課題を提示したのも、出先機関移譲の、受け皿(自治体)への不安が本音としてあるんだと思う。
D 特に、できることから先行してやればいいと主張する関西広域連合の加盟府県には、四国地整管轄で徳島県、中国地整管轄では鳥取県しか参加していない一方で、関西地整管轄の奈良県と、河川で一部管轄する福井県が参加していない。
B 10月下旬の地域主権戦略会議が出先機関丸ごと移譲の潮目と言ったけど、もう一つの注目は27日の大阪府知事選と大阪市長選だ。元々、府と市の二重行政が問題になっていたけど、選挙結果次第ではさらに出先機関廃止と丸ごと移譲論が一気に加速する。
A でも建設業界から出先機関廃止への不安の声は余り出ていないけど。なぜだろう。
B 遠い将来の話で現実的には難しいと思っていることが大きな理由だと思う。もう一つの理由は、地方業界の一部に出先機関の丸ごと移譲で、国の工事が丸ごと地方建設業の仕事になるのではないかという期待感もある。
C でもブロック単位なら、これまで県単位で県内企業の育成優先をする県単位モンロー主義がブロック単位に広域化して逆に崩れる可能性だってあると思うけど。
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