東日本大震災後、物流サービス・製品の選定基準は「コスト優先」から「リスク分散」に--。日本能率協会と日本ロジスティクスシステム協会が全国の物流関連企業の担当者約1200人にアンケートした結果、こうした傾向が明らかになった。震災の前後で、「省エネルギー」「企業の事業継続性」を重視する担当者が増えたほか、4割が「拠点の見直しを検討」し、「国内拠点の二極化」「チャイナ(中国)+1」の海外戦略など、「業界の動向が読み取れる」(両協会)という。
調査は、2012年9月に開催する「国際物流総合展2012」に向けてことし7月、全国の物流関連企業の担当者を対象にインターネットでアンケートした。前回、10年9月に開催した物流総合展に来場した担当者のうち、1246人が回答した。
物流サービス・製品を選ぶ際の選定基準(複数回答)は震災前に価格が75.8%、品質・納期が67.3%、性能(60.7%)が上位だったが、震災後は品質・納期(60.8%)、安心・安全(50.9%)、価格(47.4%)に移ったという。
震災前後を比べると、価格が28.4ポイント減の47.4%、性能が19・2ポイント減り41.5%に後退した一方、省エネが27.6ポイント増の45.2%、事業継続性が24.0ポイント増の45・7%に伸びた。
震災を機に39.9%の担当者が生産・物流拠点の見直しを検討、関心があるのは国内77.3%、海外22.7%だった。
国内は近畿が21.8%で最も多く、多くの拠点が集中している東京に加え、東西の二極化傾向が見られた。また、海外はアジアが9割近くを占め、中国が41.5%で最も多く、ベトナム、タイがそれぞれ17.8%、インドが11.9%で、「ネクスト・チャイナ」と呼ばれる国が約5割を占め、「企業のリスク分散動向がうかがえる結果となった」(両協会)。
12年の展示会は、災害時にも物流が途切れないリスクマネジメントを新たな出展分野として新設し、生産・物流拠点の移転、増設を検討している企業に向け、工業団地や流通団地、税制優遇制度を提案する特別企画として拠点進出ソリューションを設けるという。
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