2011/11/11

本紙記者座談会・都住設計1円落札

A 東京都の都営住宅建替基本設計で低価格受注が続いているけど、ついに「1円」まで出てきたね。まさに来るところまで来てしまったという感じだけど。
B 都側も発注者としての責任を感じているし、プロポーザルや総合評価方式での選定が最善であるとの認識は持っている。ただ、すべての案件でプロポーザルとなるとマンパワーなど問題も多い。
C 所管局は6月ぐらいから本腰を入れて対策の検討を進めていたけど、結果的に後手後手になっている感はある。それでも参加要件を厳しくしたり、基本設計と実施設計を一括で発注するなど、いまできる手立ては講じている。来年度には大規模案件を対象に総合評価やプロポーザルなど、価格だけに頼らない選定方式を試行するみたいだ。
A 設計界の対応はどうなの。
D 関係団体はこれまでも設計入札に代わる設計者選定方法を共同提案したり、熱心に取り組んできた。でも今回は、どこからもコメントが出ていない。
B 関係団体は間違いなく対応に苦慮しているよ。ただ、立場が違うと捉え方が違うから、会員によって意見が違ってくる。本音では、設計入札は経費がかからないから歓迎という設計者もいるし、都営住宅にプロポーザルを持ち込まれたら参加要件を満たせなくなるという声もあるようだ。
D 1円、10円ということは、そもそも市場として成立していない。いっそのこと、インハウスで設計すればいい。
B 入札に参加する以上は、取りにいかない方が逆におかしい。発注者から出される設計者批判は、議論のすり替えにしか聞こえない。
D 結局は、金額の多寡で設計者を選ぶ限り、何をしても実効は上がらない。上限があるなら下限があってしかるべきだ。

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