日本建築学会(和田章会長)は、コングレガシオン・ド・ノートルダム修道会の日本管区本部(管区長・寺島京子シスター)に「マルグリット・ブールジョワ・センター(旧ノートルダム修道院)の保存に関する要望書」を提出した。
東北地方太平洋沖地震で被災した同センター(福島市)の取り壊しが決まったことに対し、建築的価値とともに東日本大震災を乗り越えた被災遺産として復興のシンボルともなる建物とし、取り壊しの撤回を要請するとともに保存についての協力を申し添えている。
同センターは、チェコ系建築家、ヤン・ヨゼフ・スワガーの設計、関工務店の施工で1935年に福島市花園町3-6に建設された。文化財として指定・登録こそされていないが、スワガーの現存作品であるとともに同学会の「日本近代建築総覧」と「歴史的建築総目録データベース」、福島県教育委員会の「福島県の近代化遺産」に盛り込まれるなど、福島県の近代化を物語る上で欠かせない歴史的建造物、地域の身近な文化遺産として長年市民に親しまれている。
同修道会が、被災した同センターの取り壊し、撤去を決めたことに対し建築学会は、文化庁の委託で実施した東日本大震災文化財被災建造物復旧支援事業(文化財ドクター派遣事業)で現状を診断した限りでは「総じて損傷はわずかであり、保存できる余地は大いにある」と判断。その上で、「都市の近代化の過程や戦前の建築文化を伝える建築的価値」とともに「震災を乗り越えた被災遺産として、復興のシンボルともなるべき建物」として保存を要請している。
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