2011/11/18

記者座談会・地域維持型JVは効果の判断いまだつかず

A 国土交通省が「地域維持型JV」を創設するためJV準則を改正した。建設産業戦略の目玉の一つだったけど、業界はどう見ているのかな。
B 地方建設業者からは期待の声が高い。特に積雪地帯を抱え、毎年除雪体制の確保が問題となっている地域では、地方自治体も含めて早期の導入を訴える声が上がっている。ただ、事業協同組合に一括委託している地域はどうするか。加えて、各都道府県が災害協定を締結しているため、地域維持型契約方式に災害応急対応はなじまないのではないかとの声も出ている。
C 国交省側からすればそうした意見も含めて、理解がまだ深まってないな、という見方だ。事業協同組合に委託している地域まですべて地域維持型JVで発注しなさいと言っているわけではないのに。
D 新しい制度だから、どんな問題が出るか掴み切れていない部分もある。災害協定の指摘も、災害対応業務でどう地域維持型JVを活用するかを国交省も整理しきっているわけではない。ただ、地域維持型契約は建設業が地域にいなくて、地域維持に不都合が発生している地域での特例的な活用を想定しているということだ。例えば、ある地域で災害協定を結ぶ相手がいないとする。だったら、建設業者がいる隣の地域の道路修繕と業者のいない地域の災害時の対応を包括的に地域維持型JVに委託しておくと……。
B 地域維持事業はいままでボランティア的に地域の建設業者が行っていた。そもそも、本業の部分で地方建設業者がしっかり仕事を受注し、利益を得ていることが前提になる。
D そうなれば、地域維持型契約が必要なくなるかもしれない。逆に自治体による柔軟な工夫で活用方法は広がるという期待もある。いずれにしても、現時点では、地域建設業者がいなくなるかもしれない地域での活用を想定している。

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