建設コンサルタントや地質、測量、建築積算の46社(うちオブザーバー9社)の労働組合で構成する全国建設関連産業労働組合連合会(建設関連)。10月に新体制が発足、4期目に入った粕谷正明執行委員長(アジア航測)と山田規世書記長(建設技術研究所)に、公共市場の縮小に伴う受注競争激化によって、労働環境が悪化している状況での活動方針や今後の課題などを聞いた。
――最近の組合活動について
粕谷 「なんのために組合があるのか」と言う組合員がいる。われわれにとって組合があることは当たり前のことだが。執行部の動きが目に見えて分からないので、なぜ組合費を払っているのか疑問を持っているようだ。
組合に対する意識が低くなっている。労働環境が満たされているからなのか、活動しても変わらないとあきらめているからなのか。後者のほうが色濃いように思うが、言わなければなにも変わらない。
山田 以前は組合で運動すれば成果に結びついていた。いまは成果になかなか結びつかないので、あきらめにつながっている。うまくいかないとき会社は個人の責任にしてしまうことも、組合離れの一因になっている。
建設関連業の賃金は、公共発注者が技術者単価を決めている。低価格で受注すれば単価が下がり、賃金も下がる。おかしいと思うことを直すには声を上げて行動しないといけない。自分たちで運動しなければ賃金は改善できない。
――建設コンサルタンツ協会が国土交通省など発注者にも協力を求め、長時間労働の改善に取り組んでいるが
粕谷 建コン協は週1回のノー残業デーを呼び掛けている。目的は期せずして一致しているので、一緒に推進できればと考えている。実効あるものにするために、前向きにとらえてやっていきたい。
粕谷委員長(左)と山田書記長 |
山田 われわれはここ数十年来、改善を訴えてきた。建設関連業の仕事は(製造業のような)ライン的なものではないため、技術者個人が仕事にのめり込み、どうしても長時間労働になってしまう。
――今後取り組みたい課題は
粕谷 (作業報酬下限額以上の支払いを義務付ける)公契約条例が地方自治体でつくられている。いまのところ対象は建設業なので、建設関連業にも波及させたい。すぐにどうこうできる問題ではないが、他の団体とも連携して運動していきたい。デフレスパイラルをどこかで断ち切らないといけない。
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